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けやき坂(六本木)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年5月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都港区六本木6-10-3 グランドハイアット東京4F ☎03-4333-8782

営業時間11:30〜14:30(土日祝〜15:00)、18:00〜21:30    無休

ランチコース¥3,900〜、ディナーコース¥15,300〜

https://www.tokyo.grand.hyatt.co.jp/restaurants/keyakizaka-restaurant/

*2016年「週刊新潮」19号掲載



 港区・六本木ヒルズ内にあるホテル、グランドハイアット東京をエレベーターで6階まで上がり、そこから階段で4階に降りる……と、そこに別空間が広がる。

 くるみ材の鉄板テーブルの奥には、まるで市場のように色とりどりの野菜が並んでいる。その中から好みの野菜を選んで焼いてもらう「お好みの焼き野菜」(3種盛り2500円)も人気メニューのひとつだが、目の前で調理してもらう鉄板焼の醍醐味といえば、やはり肉だろう。中でもこの初夏にお奨めなのが、「塩釜焼ビーフ」(2万円・2名分で200㌘)と料理長の本多良信氏(36)は言う。

「2013年に1年間だけ提供したのですが、常連のお客様から多くのリクエストをいただき、5月から6月末までの期間限定ということで復活させました」

 A4ランクの黒毛和牛のテンダーロインに黒トリュフのスライスを乗せ、昆布と塩釜で包んで焼き上げるという。

 早速注文すると、薄いクリーム色の、長方体の「塩釜」が鉄板の上に置かれた。塩釜といっても、岩塩を練り込んだパン生地だ。

「塩釜は、一般的には塩と卵白で作りますが、それだと塩分が強くなり過ぎるので、私は卵白ではなくパン生地を使っています。中の和牛テンダーロインはもともと脂が少ない部位ですが、塩釜で包むことでさらに余計な脂が落ち、同時に乾燥を防ぐことができます。30〜40分かけてゆっくり火を通すことで肉が柔らかくなり、昆布の旨みや岩塩の程よい塩気が入るんですよ」

 塩釜の横で焼いてもらった前菜は、「ずわい蟹春巻」(2本2000円)。油をかけながら4面をまんべんなく焼いた春巻は、パリッと香ばしく、中にたっぷり入ったずわい蟹のほぐし身はココナッツミルクとカレー粉がほのかに香る。次に注文した「鉄板シーザーサラダ」(2200円)は、鉄板で焼いた上質なベーコンを、特製ドレッシングで和えたサラダ菜にかけ、目の前でチーズをおろしかけたもの。チーズやマヨネーズの利いたサラダは、ワインが進む濃厚な味付けだ。

 いずれも鉄板焼には珍しいメニューだが、

「ホテルの中にはさまざまなレストランがあるので、他ジャンルのシェフたちと情報交換しながらメニューを開発しています」

 そして、いよいよ焼き上がった「塩釜焼ビーフ」の釜を本多シェフが割ると、芳醇なトリュフの香りが漂い、続いて牛肉の香りが食欲をそそる。皿に盛られた薄切りのA4和牛はローストビーフのようにしっとりした食感で、ほどよい脂気と深い旨みが絶妙だ。

「お肉のランクは脂の量で決まりますが、脂が多いから美味しいとは限りません」

 敢えてA4だからこそのさっぱりした旨みに、箸が止まらなくなる。


©MEGUMI KOMATSU

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