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御料理ほりうち(四谷三丁目)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年9月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年10月12日

東京都新宿区荒木町9-15 土田ビル1F

☎︎03-3226-2337

営業時間:16:00~23:00

定休日:日曜、祝日

コース予算:¥10,000〜18,000(税別) 

女性店主の職人技が光る

激戦区のニューフェイス


 最近は料理界でも女性が活躍しているが、昔は今と大違い。東京・荒木町に「御料理ほりうち」の看板を掲げる堀内さやか氏(41)いわく、彼女が調理師学校を卒業した頃は、就職先を探すのにも苦労したという。

「やっとのことでヒルトン東京の『日本料理鴨川』(現在閉店)に採用していただき、次の修業先のカウンター割烹では立板、煮方を務め、神楽坂では料理長になりました。日本料理の世界では前例のないことでしたので、必死でやっているうちに20年経っていました」

 車力門通りに面した店の中は、カウンター6席と個室が1室。小規模でも化粧室を2つ設け、“お客様同士がすれ違って気まずくならないように”と心を配った空間は、つい長居してしまいそうな居心地のよさだ。

 おまかせコースは1万円(税別、以下同)から3種類あり、端正な料理と素朴な料理を組み合わせた構成は全コース共通。一番上の1万8000円のコースは、高級食材をふんだんに使った鍋料理も楽しめる内容だ。

「9月は重陽の節句にちなみ、菊菜と菊花を使うようにしています」

 ということで、1品目の前菜は秋の風情溢れる「ふぐのたたきと菊菜の酢浸し」。2、3品目は雲丹をたっぷりのせた「やわらかごま豆腐」、磯の香り溢れる「蒸し鮑」、次は引き立ての出汁が香り高い「毛蟹と玉子豆腐のお椀」と、前半はまさに正統派だ。

 一方、後半は素朴ながら驚きのある料理が続く。たとえばお造りの後の6品目は、淡路産鱧のバター焼き。鱧といえば骨を切って湯引きした牡丹鱧が一般的だが、このバター焼きは一見、白身の焼魚のよう。ふっくらした身は緻密で、凝縮された旨味があるが、それは鱧の骨を抜いているためだとか。 

「以前、先輩のお店で骨を抜いた鱧のお刺身を食べた時に、その旨味に感動し、骨抜きの技を教えていただきました。骨を抜いた鱧は湯引きせずに焼けるので、旨味がしっかり残るのです」

 7品目の「豚の生姜焼き」は、富山産銘柄豚の上質な旨味と食感に驚く逸品。外側に噛み応えがあり、中心がしっとり柔らかいのは、塊肉を低温調理してからスライスし、タレを絡めているためだという。

「家庭で食べるものと違わなければこのお値段で出す意味がありませんから……」

 フィナーレの鍋料理は、定番の「フカヒレとスッポンの鍋」又は秋限定の「鱧と松茸の鍋(予約制)」の二択。スッポンは堀内氏が20代の頃から扱っている食材で、フカヒレも以前から好評だったため、2つを合わせたのが前者だ。片や後者の鍋では、骨を切った鱧と抜いた鱧を、2種同時にしゃぶしゃぶにするという。味わってみれば、ふわりとした牡丹鱧もプリッとした骨抜き鱧も甲乙付け難く、松茸と出汁の香りが絶妙。女主人の職人技に脱帽である。



©MEGUMI KOMATSU


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