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あき山(白金)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年11月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:2019年1月7日

東京都港区白金6-5-3さくら白金101 ☎︎03-6277-0723

営業時間:12:00〜14:00(土日のみ)、18:00~23:00

定休日:祝日 コース予算:¥12,000〜(税込) 



鮨店のつまみのような一品と

割烹料理のおまかせコース


 立冬を過ぎると、和食店の献立も徐々に冬めいてくる。2018年2月に白金北里通りにオープンした「あき山」は、冬の味覚を少しずつ楽しみたい時に格好の一軒だ。

 わずか7席の店内は、モルタル造りのカウンターの無機質さと和紙の壁の温かさが調和した、独特の雰囲気。約12品から成るおまかせコース(1万2000円〜、税込)も独特で、旬の食材を生かしたオーソドックスな和食が、小皿で淡々と出される。旬の魚介を生かした前菜やお造り、焼物、煮物は、どこか鮨店のつまみのよう。それもそのはず、店主の秋山英登氏(35)はかつて西麻布のミシュラン1ツ星鮨店「鮨真」で修業した経歴の持ち主なのだ。

「『鮨真』での修業時代は、魚の扱い方の基礎を学びました。当時の経験を生かし、お造りはただ切って出すだけでなく、それぞれの魚に適した仕込みをしています」

たとえばサバは酢で締め、脂ののった寒ブリはサッと湯霜造りに。鯛は身だけでなく皮も生かし、炙って湯引きした皮の弾むような食感を楽しませてくれる。

「“液体の塩”か醤油でお楽しみください」

 と、鯛に2種の調味料を添えるのは、少しでも魚を美味しく食べてほしいという思いの表れ。“液体の塩”はフランス産の塩を水で溶かして煮詰めた自家製だ。

「固形の塩は魚に付けた時に食感が目立ち過ぎするので、液体にしてみました。こうすれば塩が付き過ぎることもありませんから」

 おしのぎとして出る棒寿司や手毬鮨も、鮨店で磨いた腕を生かしたものだ。

一方、前菜として自家製のカラスミ餠などと共に盛り合わせられる「海老芋の唐揚げ」は、ほっくりと柔らかく、いかにも冬の風情。海老芋は、最高級と評される大阪・富田林産だ。

「こうした野菜の扱い方やお出汁のひき方は、もう一軒の修業先である神宮前の割烹、『樋口』で学びました」

 初冬の白子しんじょうのお椀は、塩だけで味付けした一番出汁が香り高く、凛とした味わい。お椀は開業当初は出していなかったが、お客様にリクエストされてコースに組み込むようにしたという。

「お椀を出すと正統派日本料理店のイメージに傾きそうだったので、敢えて出していなかったんです」

 秋山氏が目指すところは、“肩肘張らずに楽しめる小料理屋”。白金の地に暖簾を出したのも、小体な飲食店が並ぶ街の雰囲気と合いそうだったからだとか。

 コースの終盤には、「牛テールのすき焼き風」などの肉料理を挟み、炊きたての白米、手打ちそば、手作りの甘味が登場。人気上昇中のブランド米「龍の瞳」とそばは栃木県塩谷の農家から取り寄せているそうで、米はもち米のような粘りがあり、そばは旨み豊か。その気取らぬ美味に相好を崩す人々が発する幸せな空気も、店の魅力となっている。


©MEGUMI KOMATSU


次回は12月13日発売「週刊新潮」48号にて、「築地STEAK哥利歐」の記事をお届けします

 
 
 

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