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フランス料理「エステール」(大手町)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2020年1月2日
  • 読了時間: 3分

東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京6F 

☎03-3211-5317 営業時間:11:30〜14:00 LO、18:00〜21:30LO

無休 予算:ランチ¥6,500〜、ディナー¥15,000〜(共に税サ別)



巨匠を迎えて生まれ変わった

地球に優しいフランス料理店


 日本のフランス料理の草分け的な存在として愛されてきたパレスホテル東京の「クラウン」が55年の歴史に幕を閉じ、新たなフランス料理店が11月に開業した。ホテルがパートナーとして迎えたのは、フランス料理界の巨匠アラン・デュカス氏(63)が設立した「デュカス・パリ」。パリやモナコのホテルの3ツ星ダイニングを含む30軒のレストランを運営する他、国際的な調理・製菓教育機関、高級ショコラ工房など、幅広いフードサービスを展開する法人企業だ。デュカス氏は世界3都市で3ツ星を獲得するシェフとして有名だが、大の日本通でもあり、以前からパレスホテル東京を定宿としていたとか。

 店名の「エステール」とは、彼が生まれ育った仏オクシタニー地方で「母なる大地」を意味する言葉。ここでは日本の大地の魅力を引き出すことを目指し、

「厳選した国産の旬の食材を正しい火加減と味付けで完璧に調理し、塩分や脂肪分は控え、食材の味を生かします」

とデュカス氏。最も大切なのは食材の本来の味を変えずに生かすことで、例えば苦味のある食材ならば、その苦味を大切にするという。

 ディナーコースは3種類。1万5000円(税サ別、以下同)と1万9000円のコースはプリフィクス、2万6000円のコースはおまかせで、アミューズは全コース共通だ。1皿目は白身魚のセヴィーチェとカラスミなどをライスペーパーにのせたカナッペで、白い小石の上に盛った演出がナチュラルで爽やか。2皿目は酒粕とビールに漬けた赤カブの実に、その葉と赤すぐりのピュレ、黒米を添えたもの。目を閉じると畑の風景が浮かぶのは、食材の滋味が生きているからだろう。厨房を預かるマルタン・ピタルク・パロマー氏(27)は、食材の全ての部位を活かすことを心がけ、例えば野菜は皮や種もソースなどに活用するそう。というのは、デュカス氏が“健康にも地球にも優しい”ことを意識し、フードロスの削減に取り組んでいるからだとか。地産地消は、環境への負荷軽減にもつながる。

 前菜の山口県産鯖は、土佐酢でマリネしてから牧草と桜のチップでスモークした切り身を主役に、シャンピニオンと共にすりつぶした身も添えたもの。やはり鯖が丸ごと生かされており、仕上げに急須から注がれるキノコベースのコンソメスープは、和食の出汁のようにさっぱり。メインの「青森県産本鮪 アヴォカド 金柑と銀杏」の鮪はレアステーキのようにダイナミックで、アヴォカドや金柑、銀杏を使ったソースは深い味わい。ちなみにワゴンで切り立てを供される自家製パンも、香り豊かで絶品だ。

 個室を含め60席の店内は、自然素材を用いたシンプルかつエレガントな雰囲気。空間も料理は現代的になったが、窓の外には以前と同じ皇居の緑が広がっている。




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