ル・ジャポン(代官山)
- 小松めぐみ
- 2020年1月2日
- 読了時間: 3分
東京都目黒区青葉台2-10-11 西郷山スペースGF ☎03-5728-4880
営業時間:12:00~13:00LO、18:00~22:00LO 不定休
予算:ランチ¥5,500〜、ディナー¥7,000〜(共に税別) 予約制

殻ごと裏ごしして作る
冬の名物「香箱蟹のスープ」
11月上旬にズワイ蟹漁が解禁されると、食通達は香箱蟹を目当てに色めき立つ。香箱蟹とはズワイ蟹のメスのことで、サイズはオスより小さいものの、身は甘く、濃厚な内子(卵)を持っているのが特徴だ。
代官山の「ル・ジャポン」は、8年前のオープン当初から毎冬「香箱蟹のスープ」を作り続けている創作フレンチ。店内は吉野杉の一枚板のカウンター(10席)と個室 (1室)から成り、基本の1万2000円(税別)のコースは、約5皿の前菜から始まる。その1皿として、11月から1月末まで出されるのが「香箱蟹のスープ」。香箱蟹のさまざまな部位の旨みが凝縮した濃厚なスープは、トッピングの生湯葉の淡白さとバランスが良く、コクがあるのにさらりとした味わいだ。
「基本的な作り方はフランスのブイヤベースと同じで、殻付きの香箱蟹を香味野菜やウイキョウ、トマトと共に炒め、煮て、すりつぶし、濾しています。手間はかかりますが、こうすることで殻の香りとコクが引き出されます。そして最後に白菜や蕪のピュレを加えてさらにコクを出し、重たくないように仕上げています」
オーナーシェフの中田耕一郎氏(43)が最初に修業したのは、箱根の老舗フランス料理店『オーベルジュオー・ミラドー』。その後、「毎日食べても疲れない料理を作りたい」
と思うようになった彼は、フレンチジャポネの先駆けとして名を馳せた「SHIMPEI」(現在閉店)で研鑽を積み、さらに西麻布の人気店「料理屋こだま」で日本料理も学んだという。
「日本の家庭ではカレー、ラーメン、洋食など世界各国の料理を食しますが、どれも本場の料理とは違います。このように世界各国の料理を受け入れ、独自に進化させているのは日本だけ。そんな日本の食文化を象徴するような"日本人料理"を提供していきたいですね」
かく言う中田氏は、レストランを営む傍ら、料理教室やコンサルティングも行なっており、出張先の地方で良い食材に出会う機会も多いとか。例えば山口県産の長萩和牛は、最近のお気に入り食材。大きな塊をしっとりと焼き、フォンドボーベースの赤ワインソースを添えるスタイルは正統派フレンチの趣だが、付け合わせは何と、コンソメで炊いた極太切り干し大根だ。
コースに登場する9品は、このように日仏の要素が同居しているのが特徴。締めの「冷しフォアグラ担々麺」は、まろやかなコクのあるスープと玄米麺の香ばしさ、柚子の香り、ひと口サイズのフォアグラの相性が見事な、通年の名物だ。
「鰹と昆布の出汁に、焼き茄子のペーストと練りゴマでコクを出しています。麺はグルテンフリーです。だからフォアグラがのっていても重くないでしょう?」
と中田氏。2019年夏からはヴィーガンコースもスタート。こちらも好評を博している。
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