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GINZA 芳園(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年3月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都中央区銀座7-8-15 第二新橋会館6F

☎︎03-6274-6568

営業時間11:30〜14:30LO/17:30~22:30LO(土〜21:30LO) 

定休日:日曜、祝日 予算:昼¥980〜、夜¥5670〜

http://ginza-hou-en.com

*2014年「週刊新潮」45号掲載



焼物の魔術師が腕を振るう広東料理


「食は広州にあり」。かつて作家の邱永漢氏が随筆集の題に冠した中国の諺は、かの国の食都が広東省にあることを示す。

 その広東料理を日本で味わうなら、2014年1月に東京・銀座7丁目にオープンした「銀座芳園」だ。

料理長の横尾博志氏は、日本の中華料理店として初めてミシュランの1つ星を獲得したウェスティンホテル東京の名店『龍天門』で14年、腕を磨いた。師匠は長らく同店の料理長を務めていた陳啓明氏。

「陳氏の弟子としての信頼をいただき、自分の店を出すことになった『龍天門』のお客様が、私を料理長に迎えてくださったんです。

『全てお任せします』と一任された時は、身の引き締まる思いでした」 

そんな横尾氏が特に力を注ぐのが、広東料理の中でも最も習得が難しいとされる「焼物」。豚や鶏などの塊肉を、背の高い鉄窯につるして焼く料理である。

「陳さんから、“広東料理の料理人を目指すなら、焼物を極めないとダメだ”と言われましてね。本場の香港へ何度も研修に通い、技を学びました。香港とは気候風土が違うので、帰国後、最初は思うような味が出せず、完成させるのに10年かかった料理もあります」

それが店の名物「鹿児島産皮付き上豚バラ肉のサクサク焼き」(2100円/3日前までに要予約)で、身はジューシーだが、皮はきめ細かいパン粉のような食感に仕上がっている。

「中国で『五花月南』と評される、皮と脂と赤身が5層になっている五枚肉を使っています。肉に下味を入れるのに丸1日、皮を干して乾燥させるのに丸1日、それから焼くので、3日がかり。300度の窯の中で皮を爆発させるようにしてふくらませ、焦げたところを削ります。そして剣山で皮を刺して脂を出すと、皮が揚げ物のような食感になるのです」

 スペアリブの旨みが凝縮した「叉焼」も特製ダレの甘味が上品で、脂身にはまったくしつこさがない。

 さらに「銀座芳園」には、もう1つ名物がある。横尾氏が山梨県の農家と共同開発した「八ヶ岳軍鶏」の丸焼きだ。

「焼物は何段階もの調理工程を経るので、皮が薄いと破けてしまう。そこで、皮を厚くするために特製の飼料で育てています。注文を受けてから取り寄せるので、1週間前までに予約が必要です」

 こだわりの軍鶏の旨みを堪能できるメニューは「パイ包み焼き」「岩塩包み焼き」「スープ仕立ての煮込み」など6種類で、いずれも3~6名分で8800円。 

 コース料理(5670円~1万5500円)も用意されているが、軍鶏を希望するなら予算を伝えて特別コースを予約するのが得策だ。

「王道のフカヒレや北京ダックの他、香港のB級料理などの裏メニューもご用意しております」

 この道23年の「焼物の魔術師」は芸達者。広東人をして、「食は銀座にあり」と言わしめたい。


焼物の盛り合わせ


©MEGUMI KOMATSU

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