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中国料理 美虎(幡ヶ谷)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2019年4月29日
  • 読了時間: 3分

東京都渋谷区西原2-36-22,1F ☎︎03-6416-8133

営業時間:12:00〜14:00LO、18:00〜21:00LO

定休日:月曜、火曜、他不定休あり

コース予算:ランチ¥4,000〜、ディナー¥5,000〜(税別)

※ランチはコースのみ予約可



野菜を多用し、季節感を重視

女性としての着眼点が光る中華


 新緑が芽吹く春は、市場に様々な野菜が出回る季節。テレビでもおなじみの野菜好きシェフ、五十嵐美幸氏(44)の店では、春野菜のメニューが始まっている。

「中国料理の女傑」の異名を取る彼女は現在数軒の中国料理店を直営・プロデュースしているが、本店があるのは幡ヶ谷の住宅街。民家のような建物の扉を開けると、テーブル席(12席)の奥に、青いスポットライトがあたるカウンター(6席)が現れ、五十嵐氏が明るい笑顔で迎えてくれる。

「創業11年目を迎えた昨年こちらに移転し、シェフズカウンターを設けました。仲良しのソムリエに選んでもらったワインも常備していますので、どうぞお楽しみください」

 元フォーシーズンズホテルのレストランディレクター、岡田稔仁(なるひと)氏が選ぶワインは、ヨーロッパの人気銘柄から少量生産の日本ワインまで14種類揃い、グラス800円(税別、以下同)から。

 料理のコースは3種類あり、真ん中の8500円のコースは前菜からデザートまでの7品構成。「ホタルイカの紹興酒漬け」や「空豆入りピータン豆腐」など5点を盛り合わせた前菜は、いずれも白ワインが進む穏やかな味付けだ。

「当店は年配の方や女性のお客様も多いので、食材の持ち味を活かしきり、塩分と糖度を控えています。中華はヘビーなイメージがあると思いますが、こうすればやさしい味わいの料理になり得るんですよ」

 と、五十嵐さん。2品目の「海老ワンタン」は、ゴマだれと黒ニンニクのソースがやや濃厚だが、後味はさっぱり。次の「本日の野菜料理」は、口直し感覚のあっさりした一品だ。例えば春キャベツは、浅漬けの“フレッシュ搾菜”の塩気によって甘みが引き立つように、少量の油で炒められる。

「野菜をたくさん使うことと同時に、食材の旨味を調味料代わりに使うことも私のテーマです。続いてお出しするのは、桜エビを調味料代わりに使ったスペシャリテです」

桜エビと湯葉のプリンにフカヒレと黄ニラのソースをかけたその一品は、とろりとまろやかな味わい。ところどころから現れる桜エビの香り、旨味、甘味は、まさに調味料のようだ。五十嵐氏はまず桜エビを焼いて香ばしさを出し、次に蒸して旨味を引き出してからペーストにしているという。

 現在のコースの5品目は、牛バラ肉と花ワサビ、四川山椒の豆豉炒め。花ワサビのシャキッとした歯応えがパンチのある肉料理に清涼感を与え、春の訪れを感じさせる逸品である。

〆の名物「はまぐり麺」のスープは、蛤や牛骨、鰹、昆布などの出汁を合わせた絶妙な味わいで、全部飲み干しても翌日の体は軽やか。   

 健康を意識した中華は、歳を重ねるほどに有り難みが身に染みそう。


©MEGUMI KOMATSU

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