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家全七福酒家 丸ビル店(東京)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2019年1月10日
  • 読了時間: 3分

東京都千代田区丸の内2-4-1丸の内ビルディング36階

☎︎03-3283-2002

営業時間:11:00〜15:00LO(土日祝15:30LO)、

17:00〜21:30LO(日祝21:00LO)

定休日:1月1日、2月18日(丸ビル点検日)

コース予算:ランチ飲茶¥4,000〜、

ディナー¥13,800〜(税サ別) 要予約



都心を一望する広東料理店で

名物「金鶏の姿揚げ」に舌鼓


 香港に本店を構える「家全七福酒家」は、名店「福臨門酒家」の創業者の七男、徐維均(チュイ・ワイクォン)氏が2013年に立ち上げた広東料理店のブランド。かつて福臨門酒家の日本支店として誕生した東京と大阪の店舗は、いずれも14年に「家全七福酒家」の系列に入って屋号を改めている。とはいえ、丸ビル店の厨房を指揮する総料理長は以前と変わらず、料理も健在だ。袁家寶(エン・カポ)総料理長(45)いわく、

「大切にしているのは、厳選した素材の味を生かすことと、広東料理の魂である上湯(スープ)の取り方。上湯は金華ハムをたっぷり使うのが特徴で、6時間ほど蒸し煮にし、化学調味料を使わずに仕上げています」

 そんな上湯の味わいが光るフカヒレの煮込みは、昔からファンの多い逸品。これと互角の人気を誇る名物「金鶏の姿揚げ」を一度に楽しめるのが、全8品のコース「芍薬」(1万3800円/税サ別、以下同)だ。

 前菜は、旨味溢れる焼豚や豚スネ肉の煮こごりなど、4種類の盛り合わせ。次に登場する「山伏茸入りミニフカヒレ姿煮」は、繊細で上品な上湯と、口の中でさらりとほどけるフカヒレの食感が持ち味だ。別添えの細切り金華ハムを加えれば、上湯の中の金華ハムのニュアンスが膨らみ、芳醇さが前面に出る。別添えの酢を加えるとさっぱりするが、

「香港などでフカヒレ料理に酢を添えて出すのは、臭み消しのため。当店のフカヒレは丁寧に脂肪を取り除いているので臭みがありませんから、酢を使わなくても大丈夫ですよ」

 と、袁氏。金華ハムを加えることは必須だが、酢を使うかどうかはお好みだ。

3品目の「金鶏の姿揚げ」は、1皿(2人分)1/2羽の鶏を、骨付きのまま食べやすいサイズに切って皿に盛ったもの。手掴みでかぶりつけば香ばしい皮がバリッと破れ、ジューシーな身の旨味に続き、さらりとした脂が広がる。食べている間はその美味に引き込まれ、無言で集中すること必至。この味を生むカギは、鶏の銘柄と、調理法にあるという。

「鶏は龍崗鶏のメスの若鶏。引き締まった細身ながら、背中と尻に脂が乗るという特徴があります」

 もともと香港や広州で放し飼いされている銘柄だが、現在は日本でも飼育されており、袁氏が仕入れているのは茨城県産の新鮮なもの。

「自然の餌で健康に育てられた金鶏の滋味を生かしています。丸鶏のまま鉤にかけて吊るし、100回以上ピーナッツ油をかけ、皮がパリッと仕上げるようにじっくりと火を通します」

 コースの後半は、「ホタテの蒸し物」などの海鮮料理と、岩手県産白金豚を生かしたおすすめ料理、季節野菜の上湯スープ浸し、ご飯または麺、季節のデザート。

 丸の内ビルディング36階の夜景を前に美味に集中すれば、ランナーズハイならぬイーターズハイである。


©MEGUMI KOMATSU


次回は1月17日発売「週刊新潮」3号にて、「アサヒナガストロノーム」の記事をお届けします

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