SALONE TOKYO(日比谷)
- 小松めぐみ
- 2018年8月8日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月23日
東京都千代田区有楽町1-1-2 東京ミッドタウン日比谷3F ☎03-6257-3017
営業時間 12:00〜13:00LO、18:00〜20:00LO 定休日:日曜、第1・第3月曜
コース予算:ランチ¥6,000〜、ディナー¥15,000(税サ別)
http://www.salone.tokyo
*2018年4月19日発売「週刊新潮」16号掲載

話題の商業施設のイタリアン
2人のシェフの競作コース7品
2018年3月29日に開業した話題の商業施設、東京ミッドタウン日比谷の3階角に位置する「SALONE TOKYO」は、郷土色豊かなおまかせコースのイタリア料理店。母体の「サローネグループ」は関東や大阪で6軒の人気イタリアンを展開する企業で、東京の旗艦店となるここは42席の大型店だ。絨毯敷きの通路を挟んでゆったりと配置された席につくと、磨き込まれた銀色のカトラリーと金色の皿が白いテーブルクロスに映え、まぶしい程の晴れやかさ。大きな窓の外には日比谷公園の緑が広がっている。
ディナーコースは1万5000円(税サ別)で、前菜2品、パスタ2品、魚料理、肉料理、デザートの計7品。どの品も洗練されているが、最初の前菜はデザートのような華やかで女性的であるのに対し、2品目の真蛸のソテーは、素材の味と香りが際立つシンプルな仕立てだ。統括料理長の高見博史氏(39)いわく、
「当グループの料理の特徴は、各店のシェフがイタリアで体験して感動した味覚を再現すること。当店は2名のシェフが共同でコースを作る“ダブルシェフ”体制ですので、ディナーの7品の中には私が作る北部地方の料理と、もう一人の永島義国シェフ(42)が作るシチリアやヴェネトの料理が混在しています」
コースの構成がドラマチックな起伏に富んでいるのは、作り手が異なる為だ。
「2品目の鳥羽の真蛸のソテーは、私が修業したシチリア風の料理です。シチリア料理は対岸のアラブの影響を受けたものが多く、蛸にエジプト豆(ひよこ豆)のピュレを合わせるのも、その一例。蛸はモノによって味が異なるので、1杯ずつ味見して最適な塩分濃度に調整した塩水を用意します。そして秒単位で2段階の調理を行ない、雑味のない旨みを引き出します」
そう説明する永島氏は、直近まで横浜の「SALONE 2007」でダブルシェフの一人として活躍し、2016年にクチコミサイト『食べログ』でイタリアン部門の全国1位を獲得させた敏腕シェフ。続く3品目は高見氏のパスタで、
「エミリア・ロマーニャ風の帽子型のラビオリです。その隣には柔らかな牛頬肉の煮込みを盛り合わせ、さらにルバーブとイチゴのジャムを添えています。お肉に甘みのアクセントを利かせるのは、かつて私が感銘を受けたミラノの名店『サドレル』のスタイルです」
ソムリエお薦めのロゼワインと共に味わえば、料理とワインの中の果実の香りが相まり、華やかな印象だ。
コースは2カ月ごとに替わり、6月1日には新メニューになるとか。
「コースの内容は毎月、第三者を交えて開く内輪の試食会で、侃侃諤諤の議論の末に決まります」
勝ち残った7皿だけに、非の打ち所がないのである。

©MEGUMI KOMATSU
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