鮨 在(ざい)
- 小松めぐみ
- 2020年1月2日
- 読了時間: 3分
東京都渋谷区広尾5-3-13 Barbizon86 5F
☎03-3446-1134
営業時間:メインカウンター18:00~/20:30〜
個室カウンター17:30〜/20:00〜(2部制) 定休日:日曜、祝日 コース予算:¥20,000(税別)

江戸前鮨のコースに合わせて
日本酒やワインをペアリング
昨今は料理と相性の良いお酒を組み合わせる“ペアリング”が人気。鮨の世界にもその波が押し寄せ、鮨種に合わせたお酒を提供する店が増え始めている。特に凝ったペアリングが楽しめるのが、2019年5月に広尾にオープンした「鮨 在」だ。
大将の岡田貴裕氏(43)は、銀座などの有名店で腕を磨き、六本木のミシュラン1ツ星店「鮨 由う(ゆう)」では料理長を務めたベテラン。営業は夜のみの2部制で一斉スタートとなっており、2万円(税別、以下同)のおまかせにはつまみと握りが合わせて約20品登場する。
岡田氏の鮨は、伝統的な江戸前鮨を基本としつつ、ところどころにモダンなエッセンスが光る独自のスタイル。軽く炊いてほぐして甘いツメを塗った帆立は、最近は出す店が少ないだけに新鮮だが、実は昔から受け継がれる江戸前の味。小肌の締め方や穴子の煮方などは、まさにクラシックだ。
「古い仕事は修業した老舗の技をそのまま受け継いでいますが、赤酢を使った酢飯や煮切りは、自分流にアレンジしています」
と岡田氏。一方、
「下に敷いた海苔で包んでお召し上がりください」
と言って出される毛蟹とウニの握りや、焼きたてのノドグロと松茸の手巻きなど、新感覚の鮨に出合えるのも楽しい。
そんな鮨やつまみとの相性を吟味したペアリングコース(+1万円)で少量ずつ楽しめるのは、日本酒やワイン、焼酎など約11種類。茶碗蒸しには柔らかな口当たりのスパークリング日本酒、毛蟹とウニの握りには黒龍酒造の希少な限定品「二左衛門」と、さまざまなお酒が登場する趣向だ。中には安堵を覚えるような組み合わせもあるが、思わぬ相性の良さに驚かされることの方が多い印象。たとえば三重県産のメイチダイとロワールの自然派白ワインは、意表を突く相性だ。ソムリエの保坂卓氏(37)によると、この組み合わせのポイントは、メイチダイにかけられた煎り酒のジュレにあるとか。いわく、
「煎り酒という調味料は梅干しと鰹節で作られていますが、そもそも梅は果物。ですから、果物であるブドウのワインと相性がいいはずだと考えました」
ノドグロと松茸の手巻きと共に出されるのは、山椒風味の芋焼酎のお茶割り。こちらは松茸の香りと山椒の清々しさが調和し、ノドグロの脂がすっきりとキレるような組み合わせだ。
「焼酎は『AKAYANE 山椒 スピリッツ』というもので、度数が45度もありますが、ソーダと日本茶で割って飲みやすくしました」
と保坂氏。
ビルの5階のワンフロアを専有する店内は、熟練の設計士が手掛けた和の空間。 8席のメインカウンターの他に、個室カウンター5席も用意されており、大切な相手と杯を重ねたい時にうってつけだ。
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