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szechwan restaurant 陳(渋谷)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月3日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー東急ホテル2F  

☎03-3463-4001

営業時間 11:30~14:00LO、17:30~21:30LO    無休

コース予算:昼¥1,782〜 夜¥11,880〜(税サ込) 

http://www.srchen.jp

*2017年3月2日発売「週刊新潮」11号掲載



ベテランの間で若手が頭角を表す

有名四川料理店の新旧名物


 陳建民氏が築いた「四川飯店」グループの2代目、陳建一氏(60)が、2001年に開業。陳氏の料理のみならず、総料理長の菰田欣也氏(48)のオリジナル料理も取り入れたメニュー構成が特徴だ。最近は勤務歴16年の井上和豊副料理長(35)の料理もメニューに加わり、進化中。

 井上氏は35歳未満の若き才能を発掘する日本最大級の料理人コンペティション「RED  U-35」の第4回目(2016年)でグランプリを獲得したスターシェフの卵。その際に好評を博した「干し貝柱と白菜のやわらか煮」を目当てに、早速訪れた。

 店内は個室2室を含め、97席。19時になるとカウンター席の前の壁の曇りガラスが透明になって厨房の中が見えるという驚きの仕掛けがあり、料理人達が一斉にお辞儀で挨拶してくれる。その息の合った姿に期待が高まったところへ、注文した「白菜のやわらか煮(干し貝柱)」(2614円)が登場。甘く柔らかな白菜は澄んだスープと干し貝柱の深い旨味をまとって、滋味溢れる味わいだ。チキンスープに白湯をブレンドしたスープはコクがあるが、キレもよく、流石と唸らされる。

「これはシンプルゆえに難しい料理でして、大会前は早朝に練習を重ねました。火加減が強いとスープの油が乳化して濁り、味にも雑味が出てしまうんです」

 それにしてもあっさりとした味付けだが、井上氏いわく、これも四川料理。

「現地でコースを頼むと、辛い料理の合間にこういう優しい味の野菜料理が挟まれます。一方、当店の良さは味付けの種類の豊富さでもありますので、名物のホイコーロー(3089円)も、ぜひお試し下さい。当店ではこの料理を日本に紹介した陳建民のレシピを基に、キャベツだけでなく葉ニンニクも使っています。実は本場のホイコーローは、キャベツではなく、葉ニンニクで作るものなんですよ」

 その味わいは、辣油や甜麺醤などによる甘辛さが印象的だが、豆豉の程よい塩気が利き、野菜の甘みや豚肉の旨味の存在感もある。素材の良さが窺える一品だ。

「豚肉は群馬県産の『くちどけ加藤ポーク』です。その新鮮な塊肉を茹でたての状態で使うため、1日4食限定しかお出しできないんです」

 最後に外せないのは、やはり麻婆豆腐。元々の看板メニューは陳建一氏による「陳麻婆豆腐」(2495円)だが、実は他にも種類があり、「菰田特製K・M・D麻婆豆腐」(2852円)は総料理長のオリジナルメニュー。唐辛子と山椒の爽快な辛さの中に、国産牛バラ肉のまろやかな旨味と甘味が生きた逸品だ。創業10周年の折に考案されて以来、大好評だとか。

「我々は陳オーナーシェフから常々、『自分の作る料理で、自分のファンを作れ』と言われています。私も店の味として長く愛される料理を作り出すことが目標です」

いつか“井麻婆豆腐”が誕生することを、期待したい。


©MEGUMI KOMATSU


(2018年8月追記)

総料理長は交替しました

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