日本料理 山里(虎ノ門)
- 小松めぐみ
- 2020年1月2日
- 読了時間: 3分
東京都港区虎ノ門2-10-4 The Okura Tokyo ヘリテージウィング4F
☎03-3505-6070 営業時間(割烹カウンター)17:30〜21:30
定休日:無休 コース予算:¥30,000〜(税サ別)

新生オークラに誕生した
ライブ感溢れる割烹カウンター
ホテルオークラ東京の「日本料理 山里」は、“ホテルの和食堂”をコンセプトするレストラン。本館の建て替え中は別館で営業していたが、2019年9月12日、本館が新たに「ジ・オークラ・トーキョー」として開業したことに伴い、その4階に戻ってきた。
日本庭園を望む店内は以前より広くなったが、席数はほぼ変わらず114席。かつてとの大きな違いは、店内に独立した割烹カウンター(10席)と寿司カウンター(20席)が加わったことだ。
4人の料理人が目の前で料理を仕上げる割烹カウンターは、澤内恭(さわうち ただし)総料理長(65)が自ら願って作ったもの。既に会席料理や120種類のアラカルトを提供しているにも関わらず、さらに割烹カウンターを作ったのは、
「その時々の良い食材を楽しんでいただきたいため」
と総料理長。内容をおまかせとすることでメニューに際限がなくなり、選べる食材の幅が広がるのだそうだ。
「たとえば『季節の献立』を決めると、その季節が終わるまで同じ料理を出さねばならず、旬の期間が短い食材を組み込むことができません。献立をおまかせいただくと様々な食材を使うことができるんです」
割烹カウンターは他のコーナーとは仕入れも異なり、産地直送の旬の魚介も使って、夜だけ営業するスタイル。コースは約10品の“少なめ”(3万円〜、税サ別)と、約15品の“しっかり目”の2種類が用意されている。両者の主な違いは刺身と焼き物の品数で、どちらも引き立ての香り高い出汁から始まるのが特徴だ。
手取りの良い漆椀と上質なメジマグロ節の滋味ですっかり“和”の気分になったところへ出される2品目は、季節感溢れる小鉢。渡り蟹のみそと身、菊菜のお浸しを和えた一品は、いかにも日本酒を呼ぶ味わいだ。
日本酒は50種類以上と豊富に揃い、「十四代」「磯自慢」「新政」などの入手困難な銘柄も色々。スタッフに
「“日本酒のロマネコンティ”と呼ばれる『龍力 秋津』も、10年以上のヴィンテージものをご用意しています」
と案内されれば、むくむくと好奇心が湧いてくる。
3品目は、北海道産の大きな帆立の昆布〆に鮎の魚醤風味の湯葉ペーストと枝豆をのせた前菜的な一皿。以降は、金沢産ノドグロの炙りや、戻り鰹の藁焼き、酒盗風味の大根おろしを添えた鰹のヅケ、焼き松茸、マグロの炙りなど、極上の素材を主役にした料理がテンポよく登場する。九谷焼や備前焼、黄瀬戸など、このカウンターのために特注された器がシンプルな料理を引き立て、目でも贅沢を満喫できる趣向だ。
〆の食事は、塩水ウニをのせた赤飯や自家製からすみ蕎麦など。季節の水菓子を挟み、和服の女性が席で淹れてくれる煎茶を味わえば、しみじみと五感が満たされる。
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