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あわびの源太(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月16日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都中央区銀座6-7-18 デイム銀座B1  

☎03-3569-2277

営業時間 17:00〜23:00  

定休日:日曜(土曜、祝日は予約のみ営業)

コース予算:¥12,000〜(税サ別) 要予約  

 http://www5a.biglobe.ne.jp/~tomo-san/

*2017年7月20日発売「週刊新潮」29号掲載



旬の天然エゾ鮑の旨みを堪能する

全6品の鮑づくしコース


 銀座の雑居ビルの地下に潜む「あわびの源太」は、10年前に札幌から進出した鮑料理専門店。店内は個室を含め全17席で、カウンター席の横には活け鮑の水槽が置かれている。

「うちで使っているのは北海道の生産者から送ってもらう新鮮な天然エゾ鮑です。鮑は一年中美味しい貝ですが、今時分は水温が高いため、身が柔らかい。また鮑が餌の昆布や若布をたくさん食べる時期でもあるので、旬とされるんですよ」

 そう教えてくれるのは、カウンターに立つ店主の工藤智之氏(54)。異業種から家業を継いだ二代目だ。

「先代の親父と一緒に仕事をした期間は20年。今では鮑を使い続けて30年。鮑料理のレパートリーは約100種類あり、切れ目を入れた生の鮑に冷たいスープをかけた『水貝』が名物です」

「水貝(みずがい)」の鮑はコースによって量や切り方が異なり、鮑を丸かじりできる2万円(税サ別)のコースが常連に人気だとか。6品構成のそのコースの1品目「水貝」のガラス鉢には、透明なスープと鮑丸1個、少量の海藻が盛られ、海中の景色を切り取ったかのよう。

「そのままかじってお召し上がりください。スープも飲んでいただけます」

 1個約110㌘の小ぶりな鮑を持ち上げると、その重みが箸にずっしり伝わる。切れ目に沿って噛み切る瞬間はコリッと小気味よいが、身は柔らかく、上品な磯の香りと旨みが広がる。

「エゾ鮑は肉厚でそんなに硬くない品種だから丸かじりできるんです。鮮度のよい鮑はお醤油をつけるともったいないので、昆布などを使った特製スープを3日がかりで作っています」

 次の2品は、鮑と白身魚のすり身を焼売の皮で包んでパリッと揚げた「茶巾揚げ」、熟成させた鮑の肝を大葉で巻いてバターで焼いた「紫蘇焼き」。鮑の肝には苦味は一切なく、深く濃厚な旨みだけが凝縮している。

「鮑の肝は海藻の塊ですから。鮑の餌の海藻のエキスが肝に貯蔵されているんです」

 さらに濃厚な旨みに圧倒されるのが、「鮑のウニ焼き」。水槽から取り出した活き鮑の上にエゾバフンウニをのせ、秘伝のタレを塗って焼き上げた一品だ。生ウニと鮑が互いの持ち味を引き立て合う贅沢な味は、飲み込むのが惜しいほど。

 そして鮑、帆立、牡蠣、浅蜊などの貝の濃厚なスープに癒される「貝潮汁」を挟み、締めの食事は「あわび秀飯(しゅうはん)」。「最も秀でた御飯」をコンセプトとする豪華丼で、熱々のごはんにとろろと鮑の身と肝、生ウニがのっている。とろろにほのかな甘みがあるのは、 おろし金ですりおろした鮑を長芋のとろろに混ぜているため。

「エゾ鮑は甘みがある品種ですのでね。殻から外した直後の身は硬いので、こうしてすりおろせるんです」

 食した鮑は6個分。その満足感と鮑に含まれるタウリンの疲労回復効果が相まって、食後は元気一杯だ。



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