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銀座 左うま

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2020年1月2日
  • 読了時間: 3分

東京都中央区銀座3-7-13 成田屋ビル3F

☎03-6263-0309 営業時間:昼12:00〜14:30、夜18:00〜

定休日:日曜、祝日 

コース予算:昼¥5,000〜、夜15,000〜¥35,000(税別)




若き店主が名店の系譜を継ぐ

8席のみの隠れ家割烹


「さうま」と読む店名の由来は、漢字の「馬」を反転させた招福のシンボル、左馬。ちょっと古風な趣だが、店主の對馬(つしま)達也氏は、29歳の若き料理人だ。

「馬は左に倒れないという言い伝えがあり、馬を逆から読んだ“まう(舞う)”も縁起が良い言葉。自分の苗字に馬という字があることもあり、末永く繁盛するようにと願いを込めました。」

 一方、店のスタイルは隠れ家的。ビルの集合看板には店名があるが、3階の店の扉には一切目印がない。それにもかかわらず8月末の開業から客足が絶えないのは、對馬氏が名店「銀座うち山」出身の実力者だからだろう。

「『銀座 うち山』で過ごした5年間では、茶道の心とおもてなしの精神を学ばせていただきました」

 かく言う對馬氏が一人で切り盛りする店内は、カウンター8席のみ。コース(15000円〜、税別)の内容は月替りだが、先付の「落花生の嶺岡豆腐」は定番だ。もっちりとなめらかな嶺岡豆腐は、香ばしく炒ったパン粉や毛蟹の甘みと抜群の相性。その独創的な味わいの決め手である落花生を使った理由を尋ねると、對馬氏はこう教えてくれた。

「嶺岡豆腐は日本の酪農の発祥地である千葉県の嶺岡牧場にちなんだ料理で、牛乳や生クリームを使います。自分が現在千葉県に住んでいることもあって、千葉名産の落花生を使うことにしたんです」

 美味しく作るコツは、焦げないように強火で手早く練り上げることだとか。

 約12品のコースは、旬の魚介の料理を中心としつつ、野菜だけの料理や肉料理も挟み、流れに変化を付けて飽きさせない構成。たとえば帆立と蓮根と菊花の端正な酢の物の後には、敢えて渋皮を付けた栗の天ぷらを出し、秋の山の香りでリフレッシュさせてくれる。その後に供されるのは、一塩した甘鯛のお造りや、カワハギを肝ポン酢とミョウガで和えた一品など。まさに日本酒を呼ぶ味わいだ。

「日本酒は7種類以上揃えており、定番は故郷・仙台の勝山酒造のお酒です。しっかりした味わいで料理に寄り添ってくれるんですよ」

 香り高い煮物椀は、蓋裏の萩と月の蒔絵で眼福も味わえる骨董物。お凌ぎの蕎麦の器は楽道入作の赤楽の筒向と、贅沢な器使いも魅力だ。蕎麦にはオクラと長芋、生ウニがのせられ、昆布出汁で淹れた玉露のつゆがさっぱりと心地よい。

「私が料理で大切にしているのは遊び心。日本料理は引き算の料理ですが、雑味を引いたもの同士を組み合わせるのも面白いと思っています。アクを引いた昆布の出汁と玉露を合わせたのは、そんな考えによるものです」

 10月のコースのトリは、仙台牛と茸の炊き合わせと天然鰻の炊き込みご飯。今から通って常連になりたい、末頼もしい割烹だ。




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