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お肉屋けいすけ三男坊(広尾)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年9月13日
  • 読了時間: 3分

東京都渋谷区広尾5-2-25 HONGOKUビルB1  ☎︎03-3446-2929

営業時間:17:30~23:00(22:30 LO) 

定休日:日曜

コース予算:¥7,500〜(税別) 

http://ok3.jp

*2018年9月6日発売「週刊新潮」34号掲載


知る人ぞ知る“高森和牛”を満喫

コースの〆は牛骨ラーメン


 最近は熟成肉ブームで赤身肉を好む人が増え、和牛に関しても赤身の部位の人気が上昇中。上等な和牛の赤身を存分に味わいたい日は、東京・広尾の「お肉屋 けいすけ 三男坊」がいい。

 広尾商店街の地下にある店内は、ボックス席が6つと個室が1室。厨房前には肉のショーケースが置かれ、中にはオーナーの井上景介氏(39)が惚れ込んだ山口県の高森和牛が並ぶ。年間150頭しか出荷されない希少な和牛と出合った経緯を、井上氏はこう語る。

「私は以前からラーメン店を経営しており、世界で勝負できる可能性を秘めた新業態として、和牛の焼肉店にチャレンジしました。そこで神戸牛や松阪牛に代わる“次の和牛”はないかと調べ、知人を介して知ったのが高森和牛です」

 あまり知られていないが、山口県岩国市は明治時代からの歴史を持つ優秀な牛の繁殖地。その地を訪れ、高森和牛のきめ細かな肉質と上品な甘みに感動した井上氏の調査によると、

「美味しさの理由は脂肪質にオレイン酸を多く含んでいるため。地元の日本酒『獺祭(だっさい)』の酒粕と米粉を使用した飼料の影響が大きいようです」

 メニューの「本日のお肉」欄に書かれた高森和牛の部位は、「みすじ」「とうがらし」など約8種。名物は、この中から一番おすすめの赤身を160㌘以上(2人前)の塊にカットし、各席の無煙ロースターでスタッフに焼いてもらう「極上塊焼き」(1人前2500円・2名より/税別、以下同)だ。

「遠赤外線で約20分焼いた後、ホイルに包んで約20分蒸らします。時間をおくことで肉汁が細胞に戻り、旨味がぎゅっと詰まった状態になるんですよ」

 ということで、焼き上がりを待つこと約40分。その間にあれこれ料理を楽しむなら、全11品・7500円のコースがお値打ちだ。

 コース前半で特筆すべきは「ビーフシチューコロッケ」と「厚切り牛タン」。トリュフの香りとデミグラスソースの旨味が相まった前者は井上氏の母上の味をオマージュしたものだそうで、

「自分の大好きなコロッケを食べてもらいたい!とメニューにしました」

後者はタンの塊を目の前でカットして焼いてくれる臨場感も楽しく、ふっくらとしたタンには濃厚な旨味が閉じ込められている。

 約7品満喫すると、いよいよ「極上塊焼き」が登場。この日の部位「おおもも」は、脂の少ないうちももだが、サイコロステーキ大に切り分けられた肉は柔らかく、上質な赤身特有の芳醇な香りがある。

 食した肉の総量は、この後の「本日のお肉三種盛り」を含め200㌘に及ぶが、食後感は意外に軽やかだ。

「オレイン酸を多く含む高森和牛は脂の融点が低い」

 と聞くと、なるほど納得。

「〆の牛骨ラーメン」のまろやかな滋味が、じわりと染みわたる。



©MEGUMI KOMATSU


次回は9月19日発売「週刊新潮」36号で「御料理ほりうち」の記事をお届けします

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