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アクアヴィット(外苑前)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都港区北青山2-5-8 青山OMスクエア1F  

☎03-5413-3300

営業時間 11:30〜14:30LO、18:00〜22:00LO   無休

コース予算:ランチ¥3,500〜(税別)、ディナー¥8,800(税サ別) 

要予約 http://aquavit-japan.com

*2017年7月27日発売「週刊新潮」30号掲載



ニューヨーク本店はミシュランの2ツ星

話題の現代北欧料理を青山で


 昨年映画化もされたデンマークの伝説のレストラン「ノーマ」の影響で、“現代北欧料理”というジャンルが世界中で注目されている。北欧料理といえばバイキングが有名だが、現代北欧料理とはなんぞや? 好奇心を満たすべく、日本初の現代北欧料理店「アクアヴィット」を訪れた。

 外苑前のレクサスのショールームと高級家具店の間を奥へ進むと、広い空を背景にして建つ、コンクリートの平屋が現れる。店内は左手が照明を落としたバー&ラウンジ、右手がメインダイニングで、計50席。アルネ・ヤコブセンなどの北欧のデザイナー家具を設えた空間は、ギャラリーのように洗練された雰囲気だ。

 2017年7月にエグゼクティブシェフに就任した千葉尚氏(41)は、フランスの名店でフランス料理の修業を積んだ料理人。北欧料理に関しては今年、ニューヨークの本店で学んだという。

「1987年に創業したニューヨークの本店は『ミシュランガイド』の2ツ星をもつ人気店で、先日、私も研修に行ってきました。その際にスウェーデン出身の女性エグゼクティブシェフ、エマ・ベングソン氏(35)から学んだ北欧料理の基礎は、“酢漬け”“燻製”“発酵”。

こうした技術を取り入れた素朴な伝統料理を、洗練させた形に進化させたものが“現代北欧料理”です」

 ディナーは「シェフズテイスティングメニュー」と題した8800円(税サ別)のおまかせコース1種類。少量の料理が12〜15皿登場する仕組みだ。最初の品「エイブスキーバー」は、丸いデニッシュのような生地に蟹とポロ葱のクリームを入れたもので、バターの香りが食欲をそそる。

「本来の“エイブルスキーバー”は発酵生地を焼いて作るパンケーキのような北欧菓子ですが、蟹とポロ葱を入れて料理にアレンジしました。日本ではたこ焼き器で焼いているんですよ」

 親近感が湧いたところへ登場した2皿目は、トマトとセロリのシャーベットを合わせた爽やかな一品。次は山羊のチーズのタルトで、いずれも見た目はフランス料理のようだ。

「こちらは発酵食品を使った北欧らしい1品です」

 と言って出されたのは、7皿目の「馬肉/甜菜」。馬肉のタルタルは発酵食品の黒ニンニクによってさりげなく旨みが増し、松の実やビーツの食感がいい。彼の地でポピュラーな白鱒の卵“ロイロム”をじゃがいもの燻製のピュレで包んで揚げた8皿目のコロッケは、魚卵とじゃがいもの風味と燻製の香りが生きたもの。ホタテのポワレ、酢漬けのコールラビ(蕪甘藍)に続いて、11品目に登場したメインの和牛ランプのステーキは、イカのピュレとイカスミのソースが肉の旨みを引き立てていた。

 “発酵” “燻製” “酢漬け”は日本料理でもお馴染みだからか、現代北欧料理は日本人の舌に馴染むのだった。


©MEGUMI KOMATSU

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