ファロ(銀座)
- 小松めぐみ
- 2018年10月25日
- 読了時間: 3分
更新日:2019年8月16日
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル10F
☎︎0120-862-150(予約受付時間11:00~22:00)
営業時間:12:00~13:30 LO、18:00~20:30LO
定休日:日曜日、祝日、8月中旬、年末年始 ※2019年1月より日曜日・月曜日定休、祝日不定休、夏期(8月中旬)・年末年始休業あり
コース予算:ランチ¥8,000、ディナー¥20,000(税込・サービス料別)

美食界の最前線を走るシェフの
「日本人だからできる料理」
東京銀座資生堂ビルの竣工と同時に誕生し、ミシュランガイド東京の1ツ星を9年連続で獲得したイタリア料理店「ファロ資生堂」。この名店が、2018年10月1日、新たに「FARO(ファロ)」として生まれ変わった。
壁や天井に和紙を配し、ブルーのグラデーションを基調とした店内は約30席。エグゼクティブシェフに就任した能田耕太郎氏(44)は1999年に渡伊後、常に本場の最前線を走り続ける料理人だ。その実力は彼の地でも認められ、2010年には当時料理長を務めた「エノテカ・ラ・トーレ」で、16年には現在も料理長を続ける「bistrot64」で、それぞれにミシュランガイド・イタリアの1ツ星を獲得。日本人として異例の快挙を成し遂げた一方、
「伝統料理に関してはイタリア人に敵わない」
と悟った部分もあり、“日本人だからこそできる料理”を意識しているとか。
「ジャンルの枠にとらわれず、産地から直接仕入れる食材の良さを自由な発想で生かしたい」
と語る能田氏のディナーコースは、2万円(税込・サ別)のおまかせ1種類。席に着くとほどなく渡されるのは、様々な食材の名前を五十音順にびっしりと記した食材表だ。そこに並ぶ100種類以上の食材が全てコースに登場すると聞いてじっくり目を通せば、大麦焼酎や昆布などの日本特有の食材、イタリア版魚醤「コラトゥーラディアリーチ」やローズマリーなどの西洋食材、さらには菊、バラ、シクラメンなどの様々な花の名前が目に入り、一体どう使われるのか?と興味津々。
期待に胸を膨らませていると、スタッフが現れ、
「これから手で食べる料理が数品続きますので、橘のフラワーウォーターで手をお清めします」
と言う。スプレーされた手は、仄かな柑橘の香りが心地よい。自ずと気分がリフレッシュしたところに登場した1品目、ハーブ入りクリームと花を乗せた帆立貝のチップは、華やかな香りが印象的だ。
2品目は、「八寸」と題したフィンガーフードの盛り合わせ。組子細工の器の上に盛られた4種を食べ終わり、スタッフが器の中の“秘密の引き出し”を開けると、さらに4種の料理が登場するという仕掛けも楽しい。“十字箱”と名付けられたこの器は、特注品だとか。
「伝統工芸の作家や職人との対話を重ね、後世に残すべき技術を生かして作ってもらいました。上に乗せる料理も、器に合わせて決まったところがありますね」
コースの内容は日によって異なるが、生のじゃがいもをスパゲッティに見立てた能田氏の看板パスタは、当分の間味わえる予定。全13品の中にはスルメイカのラビオリにイカワタを添えるような日本的感性や、時間の経過と共に料理の色が変化するサプライズもあり、あっという間に夜が更けてしまう。
©MEGUMI KOMATSU
次回は11月1日発売「週刊新潮」42号にて、「ラ・フィナージュ」の記事をお届けします
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