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アジュール フォーティーファイブ(六本木)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年4月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区赤坂9-7-1  ザ・リッツ・カールトン東京45F  

☎︎03-6434-8711(予約受付10:00~21:00) 営業時間11:30~14:30 LO、17:30~21:00LO

コース予算:ランチ¥5,200(土日祝日¥7,800)~、ディナー¥15,500~(共に税サ別)

http://www.ritz-carlton.jp/restaurant/azure/

*2015年「週刊新潮」26号掲載



「パティシエ出身のシェフ」が彩る

フランス料理の「美」と「味」


 東京・六本木の地上200㍍。ザ・リッツ・カールトン東京45階のフランス料理店「アジュール フォーティファイブ」は、都内で最も高い場所にあるレストランとして知られる。その立地に相応しく、供される料理も飛びぬけている。

 2014年5月に料理長に就任した宮崎慎太郎氏(39)は、「パティシエ出身」という異色の経歴を持つ。

「調理師の専門学校時代からフランス料理のシェフを目指していたのですが、卒業後にお菓子屋さんに就職することになり、3年かけて一から菓子づくりを学んだんです。その後、パリのレストランで2年弱、シェフの腕を磨きました」

 2006年に帰国後は都内のフランス料理店で7年続けてミシュランの星を獲得し、同ホテルの総支配人の目に止まることとなった。

「多くのライバルがいる中で生き残っていくためには、明確な個性を打ち出すことが大切。お客様に“パティシエ出身のシェフ”と一目で納得していただけるような、美しく、かつ美味しい料理を心がけています」

 全6品のコース(1万5500円)の前菜の盛りつけは、ロールケーキに着想を得たというもの。薄くスライスしたグリーンアスパラガスで生のボタンエビの身を巻き、上にブラッドオレンジのピュレとキャビアを乗せている。エビのねっとりした食感とアスパラのシャキッとした歯応えのバランスが良い。

 さらに、ソースに目を見張る。アーティチョークとアスパラでつくった白と緑のピュレが市松模様を描き、まるでアートのよう。

 次は「ノルウェイサーモンの燻製」。人肌程度に温められた分厚いサーモンは刺身に近いレアで、口に入れると繊細な脂と豊かな旨味がサッと広がる。ワサビと酢を使ったソースの爽やかな酸味とも相性抜群だ。

 3皿目は「フォアグラのポワレ」だが、古典的なバルサミコソースに甘んじないのが、宮崎シェフ。サクランボとコショウを使った甘酸っぱいソースが、フォアグラの濃厚な旨味をサッパリと仕上げる。

 続いて「山口県萩産の平目のポワレ」を経て「30時間かけて火入れした和牛ほほ肉」が登場すると、こんな裏話を披露してくれた。

「先のサーモンやフォアグラもそうですが、魚や肉はベストな温度で調理しています。それは、私が味見をして“ベストな焼き加減”だと判断した際の温度データから導き出したもの。全てのお客様に最高の状態で召し上がっていただくには、部下が作っても同じように仕上げられることが必要ですからね」

 分量や温度をきっちり測るパティシエ出身者らしい発想だが、その本領が発揮されるのは、最後のデザート。マスカルポーネチーズのムースが入ったチョコレートの器に、温かいコーヒーソースが注がれると、全体が溶けて混ざり合い、「ティラミス」が完成する。

 驚きの「美」と「味」である。


©MEGUMI KOMATSU

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