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アリエ(麻布十番)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区麻布十番3-7-4 COMS Azabujuban 4F   ☎03-6435-0273

営業時間 12:00〜13:30LO(金・土のみ)、18:00〜23:00LO(コース22:00 LO)

定休日:日曜日を中心に月6回 

コース予算:昼¥3,400〜(税別)、夜¥10,000〜(税サ別) 

21:00以降はアラカルト¥1,200〜 

http://allie.red

*2018年3月1日発売「週刊新潮」9号掲載

舞鶴産甘鯛の炭火焼

日本の食材を活かすフランス料理店

フグは揚げて生海苔のソースで


 先月(2018年2月)に開業2周年を迎えた「アリエ」は、日本の食材を積極的に取り入れているフランス料理店。オーナーシェフの原島忠士氏(41)は、かつてフランスの一流店で修業した際、本場の技術を学ぶ傍ら、日本の魚の美味しさに気付いたという。

「日本の魚が海外より美味しい理由は、漁師さんの処理方法や流通時の梱包など、魚の扱い方が丁寧だからだと思います。日本は魚種も豊富なので、日本のフランス料理店だからこその強みとして、魚を活かしたいですね。特にフグは特別感のある魚なので、定番でご用意しています。フグは冬のイメージが強いですが、一年中獲れるんですよ」

 フランス料理でフグとは意外だが、原島氏は以前の勤務先のフランス料理店でもフグを使っていた経緯から、東京都公認のふぐ調理師免許を取得。そんな原島氏が開業時から作り続けている「下関産真フグのフリット有明産生海苔のソース」は、1万円(税サ別、以下同)のディナーコースの前菜としても、21時以降のアラカルト(2300円)でも味わえる自慢の品だ。薄紅色の衣は海老せんべいの材料を使ったもので、海老の風味がフグの淡白な旨みを引きたて、生海苔のソースをつければ磯の香りが加わり、ハッとする味わいに。サクッとした衣と、フグ特有のほろっとした食感の対比も楽しい逸品である。

「海老せんべいは中華食材ですが、これを衣に使ったのは食物連鎖からの連想です。フグは海老を餌としているので、海老風味の衣を纏わせることで旨みの相乗効果を狙えると思いまして。生海苔のソースはフグの出汁でのばし、レモン汁でキリッと引き締めています」

 コースにはこの他5〜6品が登場し、3月はフランス産の初物ホワイトアスパラガス、鹿児島産の筍など、春の食材が満載。コース全品に共通する特長は、食材の繊細な活かし方だ。

 例えばホワイトアスパラガスのサラダ仕立てに添えられたボタン海老は、殻の上から軽く炙った半生の食感が絶妙。筍と共に木の芽バターでソテーされた北寄貝は、営業が始まる直前に殻から外しているそうで、つるりとした弾力のある身の風味が鮮烈だ。筍、木の芽、北寄貝といった食材の取り合わせも独特だが、

「これは『ブルゴーニュ風エスカルゴ』という古典料理をヒントにしたものです。カタツムリの代わりに北寄貝、パセリバターの代わりに木の芽バターを使い、筍との相性を意識しました」

 食材は日本的でも味わいが日本的にならないのは、原島氏が本場で学んだフランス料理の基礎が盤石だからだろう。

 メインの舞鶴産甘鯛は、日本料理の「松笠焼」のようにウロコを立たせて炭火で焼いたものだが、アサリとカレー風味のソースの取り合わせがフランス的。和魂洋才ならぬ、仏魂和才の注目店である。



©MEGUMI KOMATSU

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