クロディーノ神楽坂(神楽坂)
- 小松めぐみ
- 2018年3月14日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月25日
東京都新宿区神楽坂5-1-2 神楽坂TNヒルズ3F
☎︎03-6280-7093
営業時間11:30〜14:00LO、18:00~21:30LO
定休日:水曜、第1・3火曜
予算:ランチ¥1,620〜、ディナー¥4,850〜(税込)
http://kurodino.com
*2014年「週刊新潮」44号掲載

神楽坂に進出した
「名ソムリエ」の極上イタリアン
大正から昭和初期にかけて「山の手銀座」と囃さた東京・神楽坂。石畳に花街の面影が残る路地裏から表通りへ出ると、ひしめく飲食店の賑わいが、かつての隆盛を思わせる。その一角、毘沙門天の斜向かいに建つビルの3階に10月26日、銀座のイタリア料理店が進出した。
ソムリエの黒田敬介氏が経営する「リストランテ・クロディーノ」だ。
「1店舗だけなら誰にでもできますが、2店舗目となるとそうはいきません。ソムリエでも出来るのだということを、若い世代に見せたかったんです」
と、真摯な表情で語る黒田氏が経営手法を学んだのは、本場フィレンツェの名店「エノテーカ・ピンキオーリ」。世界有数のワインコレクションを誇り、ミシュランの三ツ星を10年以上も保持している本店で研鑽を積んだ後、銀座店で18年間チーフ・ソムリエを務め、2010年の閉店を機に独立。翌年、銀座に1号店をオープンした。
「有難いことに、スタッフが私についてきてくれまして、銀座店はシェフをはじめとする全員が『エノテーカ・ピンキオーリ』の出身です。ただ、私にはもう1人、一緒に店を出したい男がいた」
ミラノの高級ブランド「ブルガリ」が手がける銀座のイタリア料理店でソムリエを務めていた、出久根洋二氏である。
「出久根君は『エノテーカ・ピンキオーリ』時代の部下でもあり、信頼できるソムリエ。彼にマネージャーを任せたところ、今度はブルガリのスタッフがついてきてくれたんですよ」
こうして錚々たる顔ぶれが共演を果たした神楽坂店は、瀟洒な雰囲気に満ちている。木材とレンガを壁にあしらった茶を基調とする店内は、穏やかな照明と微かなBGMに包まれ、油彩の風景画が華を添える。
「落ち着いて食事をしていただけるように、工夫しました。厨房と客席の間にはドアとカーテンの二重の仕切りを設け、調理音が響かないようにしています」
5850円から1万3600円の3種類のコースは、いずれも彩り豊かな前菜から始まる。15種類の野菜を盛り付けた皿に、ラズベリーとビーツ(火焔菜)、アンチョビ、ブロッコリーの色鮮やかなソースが優雅に線を描く。
注文した9200円のコースは、イクラを添えたサーモンのソテー、イカ墨のパスタ、和牛のグリルと続くが、「クロディーノ」の醍醐味は、グラスワインのコース(3種・4000円~4種・1万800円)をつけること。
セラーには約1000本が用意され、約5㌢の分厚いリストには、1本4000円から75万6000円のものまで、豊富な種類が揃う。その中から、料理と相性の良いワインを厳選してくれるのだ。今回は前菜に辛口の白、魚介に甘口の白、メインに酸味のある赤を出してくれた。
平成の「山の手銀座」の新店で、モダンな美食を満喫した。
©MEGUMI KOMATSU
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