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ダ・オルモ(虎ノ門)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区虎ノ門5-3-9 ZELKOVA5 1F  

☎03-6432-4073

営業時間:11:30〜14:00(火〜金)、18:00〜23:00(月〜土)  

定休日:日曜・祝日

予算:昼¥1,500、夜¥6,500〜(税別)  http://www.da-olmo.com

*2018年4月5日発売「週刊新潮」14号掲載



本場帰りのシェフが再現する

北イタリアの素朴な料理

 

 春は出会いの季節。未知のイタリア料理と出合いたいなら、神谷町の「ダ・オルモ」がいい。

 イタリアは19世紀まで小国が分立していたため現在も州ごとに独自の食文化が残っているが、日本で知られているのはほんの一部。

「他の人がやっていない料理を学ぶため、イタリアの中でも独特の文化を持つ北部の州で修業しました」

 というオーナーシェフの北村征博氏(42)は、北イタリアの3州で研鑽を積んだ料理人。メニューの5割は最北端の州、トレンティーノ=アルト・アディジェの料理で、残りの5割は他の地方の郷土料理や、「蕗の薹と発芽玄米のリゾット」のような日本の旬の食材を生かした料理だ。

 定番の蕎麦粉のタルト「スマカファン」や、あか牛のもも肉を1週間塩漬けにしてスライスした「あか牛のカルネサラータ」、パンのお団子「カネーデルリ」は、いずれもトレンティーノ=アルト・アディジェ州の料理である。

 なるべく多くの看板料理を楽しむなら、お薦めは6品から成るコース(6500円、税別)。内容は日替わりだが、「スマカファン」と「カルネサラータ」は前菜の盛り合わせの中に組み込まれることが多い、ひと口サイズの料理だ。前者は蕎麦粉の風味と燻製の生ハムの旨みが相まった素朴な味わいで、後者は熟成された赤身肉の濃厚な旨みと、生肉のようになめらかな口当たりが魅力的。「カネーデルリ」は肉料理に組み込まれる日もあればパスタとして登場する日もあり、提供法によってガラリと表情が変わる。たとえばメインの比内地鶏の皮と身の間に挟んで焼く場合は、平たく伸ばされた生地のもっちりした食感が際立ち、肉の名脇役といった風情。一方、パスタとして提供される場合は、生地にチーズを練り込み円形にして焼くため、濃厚なパンケーキのようだ。シェフいわく、

「私は京都出身なので、本場で初めて『カネーデルリ』を食べた時はお好み焼きのチーズ玉を思い出し、“これは日本人の嗜好に合う”と直感しました。トレンティーノ=アルト・アディジェは第一次世界大戦までオーストリア=ハンガリー帝国の領土だったため現在もドイツ語を母語とする人が多く、食文化も独特ですが、これは特にオーストリアの影響が色濃い料理ですね」

 同じくほぼ定番の「真鯛のラサ」は、一見リゾットのようなパスタ料理。米粒大のパスタには真鯛の出汁の旨みが染みわたり、優しい味に心が和む逸品だ。

「ラサはエミリア・ロマーニャ州の郷土料理です。パスタ生地をチーズおろし器で削るのが特徴で、本来はパン粉と卵で作りますが、私はパン粉の代わりにじゃがいもを使ってもっちりした食感に仕上げています」

 料理と解説を満喫すれば、お腹も好奇心も満たされる。


©MEGUMI KOMATSU

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