テストキッチンH(表参道)
- 小松めぐみ
- 2018年8月12日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月22日
東京都港区南青山5-12-13
☎03-6452-6582
営業時間 17:30~23:00(コース21:30LO) 無休
コース予算:¥5,800~(税サ別)
https://www.testkitchen-h.tokyo
*2018年6月7日発売「週刊新潮」22号掲載

イタリアンの大御所の新天地は
南青山で敷地面積260坪
山田宏巳シェフ(65)といえば、かつて原宿の人気イタリアン「バスタパスタ」の総料理長時代に冷製パスタを広めるなど、グルメシーンに数々の伝説を残した大御所。しかし料理への情熱は衰えるところを知らず、
「僕の料理はまだまだ未完成。完成に導くための基地を作りたい」
と、心機一転。これまで銀座で営んでいた「ヒロソフィー」を閉店し、2018年4月下旬、南青山の路地に移転リニューアルした。「テストキッチンH」という新しい店名が示す通り、コンセプトは“新しいことを試す場”だ。
「最新設備を導入したキッチンと客席が一体となる“スタジアム”のような空間を作りたくて、260坪の敷地に2階建ての建物を新築しました。キッチンと客席との間には仕切りがないので、空調を工夫し、調理の熱気や匂いが客席に届かないようにしています」
天井高3.75㍍の空間に100席が設けられた店内は、個室以外のどの席からもキッチンを眺められる造り。客席のざわめきと厨房の活気が入り混じった独特の空気は、名店「バスタパスタ」を彷彿させる。
コースは4種類あり、前菜、パスタ、メインの3品5800円(税サ別、以下同)から。次の8000円のコースは、これに名物の冷製パスタ(ハーフ)とデザートが付き、一番人気だ。

前菜の前に登場する冷製パスタ「冷たいトマトのカッペリーニ」は、お皿やカトラリーも冷やして出され、見るからに涼やか。極細パスタの上には甘いフルーツトマトが盛られ、バジルの余韻が爽やかである。
「高知県産フルーツトマトとの出合いがきっかけで1980年代に考案した一品です。口の中でソースとパスタが同時になくなるように、軽いソースに合わせて極細パスタを使っています」
2品目の前菜は「約20種類の野菜と自家製ハム、チーズのスープ」。スープは色とりどりの野菜で覆われ、皿の縁には切りたての自家製ハムが盛られている。
「ハムをスープに落として召し上がってみて下さい」
と勧められて試せば、薄切りのハムがあっさりしたスープの塩気を補い、野菜の香りや甘み、食感のアクセントが絶妙なバランス。
「これは前店『ヒロソフィー』でも好評だった定番ですが、メインは薪窯で焼く新メニューです。仙台産漢方豚のもも肉を1カ月塩漬けにしてから6時間焼いた『焼きたてハム』も新しい試みですので、ぜひアラカルトでご追加下さい」
「春キャベツのボンゴレ」を挟んで登場したメインは、高温の薪窯で焼かれたイタリア産仔羊。ふっくらした身は旨味に溢れ、炭の香りが芳しい。聞けば、イタリアのオークを圧縮した炭で焼いているとか。焼きたての分厚いハムはしっとりと柔らかく、芳醇な旨味と香りが秀逸。
巨匠の新旧メニューに拍手喝采。

©MEGUMI KOMATSU
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