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ヌキテパ(五反田)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月16日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都品川区東五反田3-15-19  

☎03-3442-2382

営業時間 12:00~13:00LO、18:00~21:00LO  

定休日:月曜日

コース予算:¥6,500〜(税サ込) 

http://nequittezpas.com

*2017年7月13日発売「週刊新潮」28号掲載



住宅街の一軒家フレンチで楽しむ

夏の名物「スイカのコース」


 五反田・島津山の閑静な住宅街に佇むフランス料理店「ヌキテパ」。夏の名物「スイカのコース」は毎年7月から9月中旬まで提供されるスイカづくしだ。

 オーナーシェフの田辺年男氏(68)は大学卒業後プロボクサーを経て料理人に。フランスの3ツ星店で修業し、1988年に恵比寿で独立開業した。

「元々スイカ好きでしたが、まかないの残りのスイカを使ってケーキを作ったのは、当時の常連のお客さんに突然『誕生日ケーキを作ってほしい』と言われたため。即席で作ったこのショートケーキが予想外に好評だったので定番化しました。それから徐々にスイカ料理のレパートリーが増え、コース仕立てで出すようになったのは94年に五反田に移転してからです」

 6品1万円(税込)のスイカコースの内容は時期によって変わるが、7月初旬の1品目は「ズワイ蟹とスイカのゼリー」。軽く茹でたズワイ蟹の爪肉とスイカのゼリーに少量の生クリームをかけたもので、蟹とスイカの甘みと、個々の食材の繊細な風味が感じられる。

「スイカを瓜として捉えると、蟹や貝、鮎など、相性の良い食材がわかります」

 2品目は「スイカの皮の塩漬けとサザエとルッコラのサラダ」。一見きゅうりのようなスイカの皮の千切りは、瓜に似た香りとほのかな辛味があり、サザエやルッコラの苦味と乙な相性だ。

「私にとってスイカは、夏休みの解放感の象徴。気取らず何をしてもいい、自由なバカンスのアイコンです」

 そんなスイカのイメージを形にした名物が3品目の「スイカのグリル」。表面は黒いが側面は赤く、遠目からはステーキのようにも見えるものがスイカだ。温かいスイカはシャリッと甘く、表面で焼けてキャラメル状になったバルサミコ酢の食感がアクセント。付け合わせの焼きナスに漂うハーブの香りがフランス料理らしく洒落ているが、

「20年前は『フランス料理にスイカは使わない』と言われたりもしました。だけどフランス人が作る料理のコピーをするだけじゃあ猿真似でしょう?」

 田辺氏は業界では魚料理の達人として知られ、通常のコースのメインは魚料理のみ。口直しの「スイカとウイキョウのかき氷」を挟んで5品目に登場したのは、「スイカのリゾットと万願寺唐辛子、イシガレイのグリル」だ。最初に驚くのは米にスイカの味がすることだが、旬のイシガレイの旨みも非凡。

「ウチで使う魚介は信頼する網元から直接仕入れる天然物だけ。今日の小田原産イシガレイは天日で数時間干してからグリルしました」

 デザートは勿論スイカのショートケーキ。水分の多いスイカを一切れ挟んだケーキは、作り立てを出すレストランならではの贅沢だ。


©MEGUMI KOMATSU

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