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ピエール・ガニェール(赤坂)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年3月18日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区赤坂1-12-23 ANAインターコンチネンタルホテル東京36F  

☎︎03-3505-1111

営業時間12:00~14:00LO、18:00~21:00LO  定休日:月曜 

予算:ランチ¥4,650〜、ディナー¥11,500〜(時期により変動あり)

http://anaintercontinental-tokyo.jp/restaurants/pierre_gagnaire.html

*2014年「週刊新潮」49号掲載



夜景とともに満喫する「厨房のピカソ」のフランス料理


 遠近法という絵画の常識を覆し、キャンバスに多面的な「視覚」を描き出したパブロ・ピカソのように、食材の独特な組み合わせによって、フランス料理に新しい「味覚」を創り出したその男は、人呼んで「厨房のピカソ」――。

 本家フランス版ミシュランの3ツ星を保持する、巨匠ピエール・ガニェール氏である。

 彼が世界中で展開する11軒のレストランの中でも、最も高層階に位置するのが、東京・赤坂の「ピエール・ガニェール」。ANAインターコンチネンタルホテル東京の36階、眼前に東京タワーを望む店内からは、都心の眩い夜景が楽しめる。ガニェール氏の下で腕を磨いたシェフの赤坂洋介氏いわく、

「毎年、クリスマスシーズンの予約は10月頃から埋まり始めます。今年も22日から25日の4日間は特別営業で二部制となり、ほぼ満員御礼」

 素材がグレードアップされるクリスマスディナーコースは1人2万7000円だが、通常営業時は1万1500円から用意されている。今回は、その「エスキス」コースを注文した。

 一口サイズのフィンガーフード5品、前菜5品、魚料理、肉料理、デザート5品、お茶菓子2品の計19品と、ガニェール氏の特徴は、小ぶりな料理を数多く出すところにある。

 たとえば前菜は、「カリフラワーのポタージュ」「ホウボウのマリネ」「仔牛とピスタチオのテリーヌ」「りんごと白ビールのアイスクリーム」「さっと焼いたボタン海老のマドラスカレー風味」で、この順番で食べるように勧められる。

「前菜そのものが1つのコースのようになっていて、繊細な味のものから、だんだんと味の濃いものへ変わっていきます」  

 前菜がまるで「画中画」のように、全体と調和しながら1つの世界をかたちづくっているのだ。この小コースがフィンガーフード、デザートと、3つもあるのだから、何という芸術性の高さだろう。

 続く「天然真鯛のポワレ」と「鴨のロースト」には、ガニェール氏ならではの食材の組み合わせが、活きている。

「真鯛のポワレにはイベリコ豚やオリーブを加えたイカスミをまとわせ、アンチョビのソースも添えています。また、お客様の目の前でフォアグラのソースを注いで出す鴨のローストは、チリメンキャベツで包み、キノコのクリーム煮とフレッシュマンゴーを添えています。ガニェール氏は海の幸と山の幸を1つの皿に使うなど、一見結びかないような食材を、見事に結び付けてしまうんですよ」

 真鯛は多種類の副食材が生み出す複雑味と香りのハーモニーに包まれ、しっかりした食べ応え。

 チリメンキャベツの甘味とフォアグラの濃厚な味に包まれた鴨は、弾力のある身を噛むごとに旨みが溢れ、マンゴーの甘酸っぱさが全体をさりげなく引き締める。

 通常コースでも十二分に驚きに満ちた内容は、さすが「厨房のピカソ」。だが、ガニェール氏は決して尊大にはならない。

「ガニェール氏は天才肌の個性的な方ですが、とても温かい人。お客様の食べ易さを考えて、今日の鴨のローストのように、肉料理は必ず小さく切って盛りつけています」

 新しさが光るフランス料理を、夜景とともに満喫した。





©MEGUMI KOMATSU

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