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ピャチェーレ(東京)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年4月1日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都千代田区丸の内1-8-3 丸の内トラストタワー本館 シャングリ・ラホテル東京28F

☎︎03-6739-7898(直通)  朝食6:30~10:00(土日祝〜10:30)、ランチ11:30~14:30 (土日祝12:00~) 、ディナー 18:00~21:30 (日祝~21:00)     無休 

コース予算:ランチ¥4,104〜、ディナー¥12,960~(サービス料別)

http://www.shangri-la.com/jp/tokyo/shangrila/dining/restaurants/piacere/

*2015年「週刊新潮」15号掲載



 卵黄とチーズと生クリームのソースをスパゲッティに絡めて、胡椒を少々、振りかける。シンプルだからこそ奥深い「カルボナーラ」に、こだわり抜いたシェフがいる――。

 丸の内「シャングリ・ラホテル東京」の28階に位置するイタリアンレストラン「ピャチェーレ」のアンドレア・フェレーロ総料理長(34)だ。30歳の若さで「ブルガリホテル・ミラノ」の総料理長に抜擢された気鋭のシェフで、昨年9月より現職に就いている。

 今回は、そのフェレーロ総料理長が考案した名物の「カルボナーラ」を目当てに、1万2960円のコースを味わった。

 最初に供されたのは、2種のパルメザンチーズ。それも「101カ月熟成」と「140カ月熟成」という、滅多にお目にかかれない代物である。

「アルプスの麓で育った牛の濃厚で甘いミルクからつくられるパルメザンチーズは、私が誇るイタリアの食文化。東京で140カ月熟成のパルメザンチーズを食べられるのは、当店だけなんですよ」

 最初に101カ月熟成のほうを一口かじると、チーズの凝縮した旨味が広がる。140カ月熟成のほうはさらに凝縮感があり、やや酸味もあった。カラスミや鮒寿司を連想させる濃厚な味は、ワインと抜群に合う。

 続いて運ばれたのは、ドーム状の蓋をかぶせた白い皿。給仕の男性が蓋を開けると、白い煙が流れ出し、中からビーフカルパッチョが現れた。皿の中でレアに燻された和牛には程よいサシが入り、味わい豊か。

「日本に来てまだ半年ですが、山椒、味噌、ゆり根など、日本の食材から多大なインスピレーションを受けています」

 というフェレーロ氏らしく、表面にさりげなく塗られたソースは味噌風味だ。

 次の品に胸を膨らませていると、黒いドレスを纏った華やかな女性が現れた。毎週水曜日は45分おきにオペラ歌手のショーが開かれるのだという。彼女の美声に聴き入っていたら、2曲を歌い終えた頃に白い皿が運ばれてきた。

 お待ちかねの「カルボナーラ」は、見た目からして巷のそれとは全く違う。パスタは直径2.2㍉の極太麺で、ベーコンは薄切りではなく、キューブ状にカットされている。コシの強い麺に絡んだソースは、塩と砂糖で一夜漬けした卵と羊乳チーズの風味が豊かで、ベーコンを噛むと濃厚な旨味が口中にほとばしる。

「伝統的な料理をモダンに再構築するという私のコンセプトを知っていただきたいという思いから、日本でもおなじみのカルボナーラを私流に仕上げました。最高の卵とチーズと麺を厳選し、2週間かけて考案したレシピで作っています」

 コースはメインの「鴨胸肉の低温調理」に続き、デザートかチーズを最後に選べる計5品。

 いつかはイタリアへ帰国して家業のレストランを継ぐフェレーロ氏の才能を、今のうちに楽しみたい。


©MEGUMI KOMATSU


(2018年8月追記)

オペラ歌手のショーは現在行われていません


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