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ランベリー(西麻布)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月2日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都港区西麻布3-13-10,2F  

☎03-6434-9067

営業時間 12:00〜13:30LO(火曜昼休)、18:00〜20:30LO(日曜夜休)

定休日:月曜 予算:ランチ¥10,000、ディナー¥20,000(税別)

https://www.lembellir.tokyo   

*2018年1月10日発売「週刊新潮」2号掲載



日本の食材を生かすフレンチの

ベテランシェフの新境地


「ランベリー」は、東京やフランスの名店で活躍した岸本直人シェフ(51)が2006年に開業したフランス料理店。17年11月下旬に南青山から西麻布へと移転したのは、自身の50歳の節目に心機一転した岸本シェフが、今まで以上に気持ちに余裕をもってお客様を迎えようと決意したためだったとか。

「それにはもっと自分が料理に集中せねばと思い、席を減らしました。今は私もスタッフと一緒に、野菜のみじん切りから洗い場までこなす喜びを感じています。これからは様々な

パーツを組み合わせて作る美味しさより、素材の本質をストレートに表現していきたいと

思っています」

 ディナーコースは10品で1万5000円(税サ別、4月末までの特別価格)。ひと口サイズの塩味のシュー生地に黒トリュフのスライスをのせた1品目はオーソドックスな趣だが、2品目からは日本の食材の個性が輝き始め、岸本シェフ独自の世界が展開される。

 たとえば2品目は海苔の豊かな風味が印象的な温前菜「4種のきのこと海苔のフラン(洋風茶碗蒸し)」。3品目は柚子胡椒風味のフレンチドレッシングで貝類を和え、根セロリや春菊を盛り合わせた冷前菜だ。

「感覚的には日本人である部分を打ち出していきたいと思っています」

 4品目の「里山」は、岩塩で作られた正方形のプレートに木の葉(皆敷)を敷き、その上に約30種類の野菜を盛り付けたもの。華やかな見た目は、まるで懐石料理の八寸のようである。

「かつて感動した京都の里山の景色を表現したもので、下ごしらえの部分にも日本料理の影響を受けています。通常は毎年春と秋にお出ししていますが、今は移転記念で冬もご提供しているんですよ」

 5品目の「小ヤリイカのファルシ」は、シェフが20年前に考案した料理を復活させたもの。スッポン、豚足、イカゲソと帆立のムースを小ヤリイカの胴に詰め、上からタマネギとビーフとスッポンの芳醇なスープをかけた、実に贅沢な味わいの一品だ。独創的な食材の取り合わせは、バスク地方の料理をアレンジしたとか。

「20年前の私は国産食材を生かすことをテーマにしていたので、本場でフォアグラを使うところをスッポンにしたんです。原点の料理として復活させました」

 魚料理の北海道産あんこうのローストに続く肉料理は、熟成但馬牛の炭火焼。噛む程に広がる赤身の旨みが、頬も心も緩ませる。

「昔はメインに牛肉を出すのは面白みに欠けるような気がしていたのですが、今の私が目指しているのは“奇抜さはないけれど旨い”と言われるような、大人のレストラン。今後はあか牛なども使っていく予定です」

 シェフも常連客も50代。「話題の店」から「名店」へと、脱皮する時期なのだ。


©MEGUMI KOMATSU

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