レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ(銀座)
- 小松めぐみ
- 2018年6月11日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月23日
東京都中央区銀座5-1-8 B1 ☎03-6264-6566
営業時間11:30〜14:00LO、17:30〜22:00LO 定休日:日曜
コース予算:ランチ¥2,700〜、ディナー¥5,500〜
*2016年「週刊新潮」39号掲載

"おふくろの味"も楽しめる
食堂のようなフランス料理店
シェフのドミニク・ブシェ氏(64)は、パリの名店の総料理長を歴任し、2004年に自身の名を冠した店を開いた有名シェフ。13年に東京進出を果たした「ドミニク・ブシェトーキョー」は、ミシュランガイド東京で2ツ星を獲得している。
その姉妹店として1016年6月末、銀座・泰明小学校の並びにオープンしたこのビストロ、ビルの入口に出されたメニューを見れば、前菜は1000円〜、メインは2200円〜と、意外に手頃だ。
「フランス料理の格式張った要素を取り除き、食堂のような存在を目指したい」
というのがブシェ氏の狙いだ。期待を募らせ、改めてメニューを開けば、夜のコースは2種類あり、料理はアラカルトから注文する仕組み。そこで2種のメインを楽しめる7000円のコースを選び、アラカラルトの中から名物料理を注文した。
付き出し2品に続いて登場した前菜の「フランス風ベニエ」は、海老とバジルを春巻の皮のような生地で包んで揚げ、マヨネーズベースのソースを添えたもの。見た目は春巻のようだが、香りはバジルが利いて西洋的。とはいえ、フランス料理としては意外なほど親しみやすい味わいだ。
魚料理「ホタテ貝のクネル」は、ホタテのすり身で作った洋風真薯で、食感ははんぺん以上にふわふわ。皿にはオマール海老の殻からとったソースがたっぷりと張られ、その濃厚な風味がクネルの淡白な甘味とマッチする。
「クネルの素材として一般的なのはカワカマスですが、当店では帆立貝を使用し、繊細な味の奥行きを出しています。ブシェ氏にはソースをたっぷりと添えることが大切だと言われています」
と言うのは、パリと東京を行き来するブシェ氏の右腕として、この店の厨房を預かる吉田能氏(29)。本国の「ドミニク・ブシェ」で修業し、師の料理哲学を体得した気鋭のシェフだ。
肉料理「仔羊の赤ワイン煮込み」のソースの量はさらに気前よく、見た目はまるでシチューのよう。7時間かけて煮込まれた仔羊肉は、口の中でほろほろと崩れる柔らかさだ。
「ソースは是非、付け合わせのジャガイモのピュレと合わせてお楽しみください」
薦めに従うと、濃厚なソースにジャガイモのまろやかさが加わり、新しい美味しさが生まれる。パンを浸したくなるが……。
「ソースをパンに付けて食べるのは行儀が悪い、などと気にしなくて大丈夫です。フランス人は星付きレストランでもパンにソースをつけて楽しみますから」
デザートの「キャラメル風味のリ・オ・レ」は、牛乳で炊いたお米に甘味をつけ、キャラメルソースをかけたもの。ブシェ氏の“おふくろの味”でもある、フランス伝統の味。
日本を第二の故郷と慕う巨匠。店名の“コパン”は仲間という意味だそうだ。
©MEGUMI KOMATSU
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