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レストランCot(西麻布)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年5月31日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区西麻布3-17-22 モダンフォルム西麻布B1  ☎03-5775-7457

営業時間18:00〜21:30LO 定休日:日曜・祝日  

予算:おまかせコース¥8,640~  http://www.my-partners.com/cot/

*2016年「週刊新潮」22号掲載



 東京・西麻布の交差点から広尾方面に行くと、地下へと続く螺旋階段の入口が現れる。ゆったりとテーブルを並べたL字型の空間こそ、国内外で西洋料理の修業を積んだ紫原龍一(しはらりゅういち)氏(50)が2003年に開いた隠れ家レストラン、「コット」である。

 メニューを開けば、フランス料理をベースにした料理は、イタリアンや中華や和食の要素もある独特のスタイル。ポトフにはかつお出汁を使い、仔羊のグリルには山葵ソースを添えるなど、味付けは日本人好みだ。

「お客様のご希望にお応えしているうちに、段々こうなりまして。リクエストがあればグラタンやエビフライを出すこともあるんですよ。アラカルトは量が多いので、色々召し上がるならおまかせコース(8640円)がおすすめです」

 コースは、前菜3種とメイン、デザートから成る。 まずは薄いパイ生地の上にオニオンソテーとクリームをのせ、サマートリュフの薄切りを並べた「トリュフパイ」。同店の名物でもあるが、トリュフの仕入れ値が安い時期にだけ登場する半定番。そして初夏限定の「毛ガニとトビッコのオーブン焼き」、さらに「リードヴォー(仔牛の胸腺)のソテー」の3品だ。

 なかでもお奨めしたいのが「毛ガニとトビッコのオーブン焼き」で、毛蟹の甘味とトビッコのプチプチの食感、まろやかなコクのあるソースの味わいが印象に残る。

「実は、発想の素になったのは、蟹とトビッコのカリフォルニアロールなんです。ソースは自家製マヨネーズと蟹ミソを合わせたもの。蟹とトビッコに塩分があるので、マヨネーズは酸味も塩分も控えめにしています」

 メイン料理は約8種の中から選ぶことができ、特に人気なのが名物のシチューだ。メニューにはフランス風に「骨付き牛バラ肉の赤ワイン煮」と書かれているが、登場した瞬間に漂う芳醇な香りは、シチューそのもの。柔らかく煮込まれた肉は口にした途端にとろけ、繊維がほどける。

「肉の部位はホホ肉やタンやオックステールなど、その時々で変わりますが、ベースのデミグラスソースは同じ。継ぎ足して使っているので、色々な部位の旨みが溶け込んでいるんですよ。仕上げには肉の部位別に適した銘柄の赤ワインを足して、酸味を加えています」

 濃厚なソースは実にエレガントで、いつまでも余韻に浸りたくなる……が、実はまだ、裏メニューがある。カレーライスだ。

「『最後にごはんを食べたい』という方のために、コースの追加料理(864円)としてご用意しているんです。お肉は既に召し上がっているので、カレーは基本的に具なし。少量ですので、超辛口ですよ」

 予告通り、数秒たつと青唐辛子と胡椒の爽快な刺激が現れ、容赦なく増幅する。「『最後にご飯が食べたい』 

 という方のために、コースの追加料理(864円)としてご用意しているんです。お肉は既に召し上がっているので、カレーは基本的に具なし。少量ですので、超辛口ですよ」

 予告通り、数秒たつと青唐辛子と胡椒の爽快な刺激が現れ、容赦なく増幅する。そして額に汗する辛さが、デザートの甘味でなだめられる。ジェットコースターのような起伏と共に、記憶に残る辛さである。


©MEGUMI KOMATSU

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