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ロンブラ(六本木)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区六本木3-10-9 枻川誠志堂ビル3B   ☎050-1498-8164

営業時間 18:00〜翌2:00LO   不定休

コース予算:¥6800〜(税込サ別) 

https://www.lombra.tokyo

*2017年12月14日発売「週刊新潮」49号掲載



郷土色豊かなイタリア料理を

日本人好みのコース仕立てで


 六本木交差点のほど近くにオープンした「ロンブラ」は、開業3カ月にして早くも評判のイタリア料理店だ。照明を落とした店内は、10席のカウンターとテーブル2卓、そして個室が1室。早い時間はコース料理を楽しむ年輩の家族連れで賑わい、深夜は仕事帰りの同業者が飲みに集まって来る。

「『ロンブラ』というイタリア語は直訳すると『木陰』という意味ですが、『ワイン一杯』という意味もあります。2軒目としてご利用になるお客様も多い場所柄ですので、ワイン1杯でも気兼ねなくどうぞ、という思いを込めて名付けました」

 そう説明する店長兼ソムリエの金子眞治氏(51)は、名店「アルポルト」で長年活躍したベテランサービスマン。席にはフォークやナイフと共にお箸も並べられ、ここにも「お気軽に」という配慮が表われている。

 上路勇シェフ(29)が作るのは、本場での修業を生かしたイタリア各地の郷土料理。単品でも楽しめるが、しっかり食事をする場合は6800円(税込サ別、以下同)のおまかせコースがお値打ち。ワインは、金子氏が料理との相性を吟味して選んだ3銘柄をグラスで味わえる「ペアリングコース」(3000円〜)が好評。

 コースの品数は前菜2品、パスタ2品、メイン、デザートの全6品。12月上旬のコースは、ベーコン程の厚さの豚ロース肉の冷製にマイクロリーフとパルメザンチーズをのせた前菜から始まった。豚肉の濃厚な旨みを5年熟成のブドウシロップの甘酸っぱさが引き立てる逸品は、イタリア中部トスカーナ地方の料理だとか。

「お次はミネストローネです。米粒状のパスタやカラスミを使い、南部のサルデーニャ風に仕立てました」

 ミネストローネと聞くと野菜のスープを連想するが、登場したのはサイの目切りの野菜や魚介と米粒状のパスタを盛り合わせ、少量のスープをソースのようにかけたもの。サイコロ状のカジキマグロやアサリ、帆立は、ワインのアテにもぴったりだ。汁気が少ないのは満腹になってしまわないようにボリュームを調整するためだとか。

 続くパスタ2品は、コシのある太打ち麺「ピーチ」と、薄い生地に詰め物をした「トルテッリ」。前者はイタリア中部、後者は北部の料理だが、ソースや具の材料はトマト、チーズ、ホウレンソウと親しみやすく、量も25㌘〜40㌘と、日本人の適量が考慮されている。

 メインは、イタリア産牛肉イチボのグリルに濃厚なチーズのソースを合わせた一品。まだお腹に余裕がある場合は、名物の「ボリート」、すなわち牛肉や鶏肉と野菜を煮込みが薦められる。

「本来は肉料理としてお出しするものですが、当店では〆や夜食向きに、スープもたっぷりよそいます」

 滋味溢れるスープが五臓六腑に染みわたる感覚は、和食の〆の雑炊のよう。本格的ながら、実に日本人好みのイタリア料理店である。


(2018年8月19日追記)

店長兼ソムリエの金子氏は退職しました。現在の店長とシェフは別の方です。


©MEGUMI KOMATSU

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