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中国珍味 調鼎(西麻布)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月15日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都港区西麻布4-3-2 田丸ビル2F  

☎03-6451-1594

営業時間 11:30~14:00LO、17:30~22:00LO(日曜〜21:00LO)

定休日:月曜日

予算:ランチ¥1,000〜、ディナーコース¥8,000〜(共に税込)

*2017年6月29日発売「週刊新潮」26号掲載



中国山椒の痺れ味と薬膳を満喫

締めには「四川風酸辣湯麺」を


「中国語の『珍味』は日本語のそれと異なり、『美味しくて珍しいもの』という意味です。日本でポピュラーな中華ではなく、美味しくて珍しい料理をご紹介したいという思いを込めて店名に用いました」

 シェフの劉存氏(45)は、29歳の時に中国から来日した料理人。西麻布の大通り沿いに昨夏開業した「中国珍味 調鼎(ちょうでぃん)」は、全20席のアットホームな店だ。四川料理を中心としたメニューは約70品。劉氏は名店「趙楊」で四川料理、ホテルニューオータニ「大観苑」で点心の技を磨いたとか。

 席に着くと早速、日替わりのお通しが登場。「よだれ鶏」や「冷やし冬瓜のXO醤がけ」などの脇に添えられたミニトマトの、果実のような甘さに驚く。

「ブドウと間違える人もいるんですよ。蜂蜜、桂花(金木犀)、干し山査子などでマリネしたものです」

 お通しは繊細な趣向だが、「イカの素揚げ山椒仕立て」(2200円/税込、以下同)はビールと相性抜群のシンプルな揚げ物。片栗粉をまぶして表面をカラリと揚げたモンゴウイカを食すと、その甘みに続いて中国山椒と唐辛子の香りがパッと広がる。一口ごとに山椒の痺れ味が増す感覚は痛快で、自ずと笑みが浮かぶほど。

「当店のメニューの中で最も中国山椒が利いた料理ですが、大丈夫ですか?」

 とサービス担当のマダムが心配するが、爽快な刺激がやみつきになる。

 マダムは続いてお薦め料理の黒板をテーブルに運び、こう説明する。

「最近薬膳料理も始めました。『天然山キノコ入り、大山鶏の黄芪(おうぎ)蓮葉っぱ蒸し』(2800円)には疲れやストレス、むくみ解消によいとされる生薬『黄芪』をたっぷり使っています。それに体を温め、“気”を巡らせる生薬『当帰』も少し。蒸す前の実物はこちらです」

 蓮の葉で具材を包んだ円盤状の物体に興味を惹かれて注文すると、中身は鶏肉とキノコの旨みが生きた醤油味。薄切りの天然キノコはイタリアのポルチーニ茸のように旨みが凝縮し、食感はメンマのようだ。薄切りのゴボウのような黄芪や当帰などの生薬は、食べてよいのか戸惑うほど繊維質だらけ。

「キノコは雲南省産の天然ものです。黄芪や当帰は食べた方が体によいですが、生薬は鶏肉やキノコにも染み込んでいます」

 完食すると、心なしか頭も体も軽くなった気がする。

 〆の「酸辣湯麺麺」(1200円)は、黒酢の酸味が利いたキレのよい麻辣味のスープが絶妙。挽肉の具がのった見た目は「担々麺」のようだが、

「日本の『酸辣湯麺』はとろみのあるスープに酢と胡椒を利かせた広東風が主流ですが、『四川風酸辣湯』はこういうもの。うちは山椒油も辣油も自家製です」

 中国珍味に快哉を叫んだ。


©MEGUMI KOMATSU

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