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中華 たかせ(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年6月13日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都中央区銀座8- 7-8GINZA8ビル3F   ☎03-6264-5420 ※予約は前日12時まで

営業時間 17:30〜 定休日:土・日・祝日 コース予算:¥32,400    

http://ginza-takase.com

*2016年「週刊新潮」42号掲載




最高の食材をテーマにした

ベテランシェフ渾身のおまかせコース


 ここ数年、都心ではアラカラルトではなくおまかせコースで勝負する中国料理店が増加中。特に銀座には高級店が集中しているが、今年10月に開業した「中華たかせ」は、中でも最高級の隠れ家的な店。メニューは9品前後で3万2400円のおまかせコース1種類のみ。強気な価格設定だが──。

「1食1万円も決して安くはありませんが、かといって1万円では最高の食材を使うことはできません。そういった食材の相場がわかる食通がいるのが、銀座という街ですね」

 と語るのは、シェフの高瀬健一氏(51)。マンダリンオリエンタルホテル東京の「広東料理センス」初代料理長として活躍した、この道30年超のベテランだ。2012年、東京ステーションホテル内に開いた開いた1号店「カントニーズ燕ケンタカセ」のテーマは医食同源の思想に基づいたヘルシーな広東料理だが、今回は新境地を開くべく、「日本と中国の高級食材」をコンセプトにしているという。

「フカヒレ、鮑、燕の巣などの中国料理の高級食材に加え、日本の旬の食材もふんだんに取り入れます」

 と言う通り、コースにはマグロの旨みと紹興酒の淡い甘味が調和した「キハダマグロの紹興酒漬け」や、蒸して肝のソースで和えた「クロアワビ」など、日本の海の幸が次々に登場。

 内容は日替わりだが、

 コースの中の唯一の定番「フカヒレの上湯とろみスープ」には、肉厚でふっくらとした、見るからに高級感のあるフカヒレが鎮座している。プリッとした繊維の1本1本は直径1㍉前後もの太さがあり、澄んだスープは金華ハムの香りが驚くほど芳醇。

「フカヒレは気仙沼産吉切鮫の、最も大きい尾びれです。上等なものほど繊維が太いんですよ。スープは広東の基本のスープですが、材料は吟味しています。スープには後ほど、香港の赤酢と、浙江省の8年熟成の『恒順香醋(こうじゅんこうず)』を加えて、味の変化をお楽しみ下さい」

 後者の酢は、濃厚でまろやかな旨みがあり、まるで高級バルサミコ酢のよう。

「恒順香醋は、かつて中国の特権階級に献上されていたもの。最高品質のもち米だけで作られ、アミノ酸含有量の高さが特徴です。次の京都産の鴨のローストにも、この黒酢を使った甘味噌を添えています」。

 サクッという微かな音と共に皮から包丁が入れられた焼き立ての京鴨は、皮のパリパリ感と、しっとり柔らかな身の濃厚な旨みが絶妙。付け合わせの鴨の脚肉のサラダ仕立ては、細切りの脚の皮のもっちりしたゼラチン質の食感が魅力的だ。

「鴨は北京ダックを作るように下味を付けてから吊るして干して、2日がかりで下準備します。そうして初めてこの食感が生まれます」

 日本の高級食材を広東料理の技で生かしたコースは、価格同様、味わいも飛び抜けている。まさに記念日の晩餐にお勧め。




©MEGUMI KOMATSU

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