銀座 久保田 朝日酒造直営店(銀座)
- 小松めぐみ
- 2018年4月6日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月25日
東京都中央区銀座8-8-8 銀座スリーエイトビル3F ☎︎03-6264-6888
営業時間 11:30~14:00、17:00~23:00(土日祝11:30〜22:00) 無休
予算/昼御膳¥1,700〜 夜コース¥5,500〜
http://www.asahi-shouzi.co.jp/shop/essyu/kubota/
*2015年「週刊新潮」22号掲載

朝日酒造が銀座に開店した
日本料理「久保田」
甘くて濃い日本酒のイメージを刷新し、淡麗辛口というジャンルを確立した銘柄といえば、新潟・朝日酒造の「久保田」。その発売30周年を記念し、朝日酒造が2015年5月19日、東京・銀座に日本料理店を開業した。
同社の直営飲食店は、『朝日山』シリーズの酒を揃える店が新潟県内に3軒、『越州』シリーズの酒を中心に揃える店が都内に4店あるが、『久保田』の看板を出すのは初めてである。
「『久保田』は原料米の精米歩合を上げてじっくリと磨いた、ワンランク上の酒。このシリーズの全商品を含む当社の酒を20種類以上ご用意しています。少量ずつ飲み比べていただくこともできます」
と、柏木邦彦店長。
料理はアラカルトと、コースが3種類。今回は7000円のコースを注文した。
前菜の盛り合わせを運んでくれた女将によると、佐渡特産の海藻「えご草」を煮溶かして練り、ゼリーのように冷やし固めた郷土料理「えごねり」や、十日町のぜんまいなど、新潟の食材を使って里山の雰囲気を伝えるようにしているという。鮭の頭の軟骨を甘酢に漬けた「氷頭なます」は、ナマコのようにコリッとした歯応えがクセになりそうだ。
これに合わせて純米大吟醸「久保田・萬寿」を、10度と20度の温度違いで飲み比べた(セット価格1500円)。10度だとキリッとしたクリアな味わいだが、20度だと香り、甘味、旨味が開き、ガラリと印象が変わるのが面白い。
2品目の「栃尾の油揚げ」は、葱味噌を挟んで焼いたしっかりした味付け。萬寿も、味が芳醇に感じられる20度の方がよく合った。
野村和広料理長が言う。
「最も酒の味が分かる温度が20度なので、杜氏は酒造りの際、20度で味見するんですよ。日本酒は、温度が変わっても美味しく飲める世界で唯一の酒。山廃酒母を用いた純米大吟醸『久保田・碧寿』も温度による変化がわかりやすいので、是非お試しください」 そこで「碧寿」(250㎖/1980円)も冷酒と燗で飲み比べてみると、お燗をつけた方が酸味が立ち、キレがよい。3品目の宗八鰈の焼物や、4品目のお造りとも好相性だ。
「燗酒は魚の生臭味を消すので、昔はお造りの時には燗酒を注文する人が多かったですね」(同)
マグロもコチも鯛も新鮮で生臭さは皆無だが、燗酒の口直し効果で、次のひと口が美味しく味わえる。
5品目は、料理長が開業に合わせて考案したオリジナル料理「宝水鍋」だ。純米酒「朝日山」に少し醤油を加えた煮切り酒に食材をサッとくぐらせる、しゃぶしゃぶ仕立ての鍋だという。
「淡味な料理は素材がよくないと美味しくなりませんから、越後もち豚や佐渡産のイカ一夜干しなどの具材を厳選しています」(同)
旨味が染みた煮切り酒は、淡麗辛口な「久保田」の品格に自然に寄り添い、新潟の里山を思わせるのだった。

©MEGUMI KOMATSU
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