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六本木kappou ukai(六本木)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月7日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区六本木6-12-4 六本木けやき坂通り2F   ☎03-3479-1515

営業時間 12:00~14:00LO、18:00~21:00LO(土日祝11:30〜14:30LO、17:30~21:00LO)  定休日:月曜 コース予算:昼¥10,800、夜¥19,440〜(税込・サービス料別)

https://www.ukai.co.jp/roppongi-k/

*2018年4月12日発売「週刊新潮」15号掲載



食材のプレゼンも華麗な割烹

春の主役は和牛と花山椒の鍋


 米大統領が訪れた高級鉄板料理店など、様々なレストランを展開する「うかい」グループが、2018年3月29日、六本木ヒルズに割烹と鉄板料理の新店を2軒同時オープンした。うかいグループの看板食材のひとつは指定牧場で肥育する黒毛和種の「うかい厳選牛」だが、六本木の2店では、さらに特別な和牛を用意しているという。

「最高級の和牛を育てることで知られる鳥取県・田村牧場の牧場長が、通常よりも長い時間をかけて育てた雌牛です。鉄板料理店では主にステーキにしますが、割烹でも“季節のすき鍋”などに使うんですよ」

 そう説明する他力野慶太(たりきのけいた)氏は、割烹「六本木kappou ukai」の統括料理長(43)。今月の「季節のすき鍋」には、わずかな期間しか市場に出回らない花山椒を使うという。そこで割烹の千本格子の扉を開けると、エントランスの天井まで続くエッチングガラスには青緑の竹林が描かれ、幻想的な雰囲気。奥にはゆったりした栗のカウンター16席が広がり、個室とテーブル席も用意されている。

 全8品のコースは1万9040円と2万4840円(税込・サ別)の2種類。席に着いて乾杯すると、ほどなく他力野氏が食材を盛りつけた大皿を持って現れ、

「本日のコースにお出しする北海道の毛蟹、京都の朝掘り筍、勝浦の1本釣りの金目鯛です」

 と披露してくれる。見るからに新鮮な食材に期待が高まったところで前菜を味わえば、気分はさらに高揚する。例えば最初の「毛蟹たっぷり豆乳茶碗蒸し」は毛蟹のコンソメ餡の仄かな塩気が豆腐の淡い旨みを引き立てる繊細な一品。次の「丸焼き筍削りたての鰹節と共に」は筍の甘みが見事で、削りたての鰹節の香りにも唸らされる。他力野氏いわく、

「京都の塚原で採れるこの筍は、真っ白で柔らかいため“白子筍”と呼ばれる最高級品です。鰹節は今削ったばかりの本枯節です」

 続いて、「金目鯛の漬け」や「旬の蛍烏賊木苺酢和え」を楽しむと、4品目はいよいよ「季節のすき鍋」。今月の鍋には花山椒と新玉葱が使われるが、もう1種の食材はコースによって異なり、うかい厳選牛が用いられるのは上のコースだ。

 カウンターの目の前で大きな肩ロースの塊を切る他力野氏の所作は、見惚れるほど素早く正確。鍋でサッと煮た和牛はやや厚めだがとろけるように柔らかく、花山椒の爽やかな香りや新玉葱の甘みと抜群の相性だ。透き通った出汁は、濃厚な和牛の旨みにも負けない、複雑な香りである。聞けば、

「昆布と鰹の他に、煮干し、生姜、白葱なども使い、魚の潮汁も混ぜています」

「手打ち蕎麦」と「黒鮑の炭火焼き」に続く〆の食事は、鰻の筒焼きをのせた炊きたてご飯。デザートの後の抹茶入り煎茶の旨みも絶妙で、美食の余韻は完璧だ。


©MEGUMI KOMATSU

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