六本木テラス フィリップ・ミル(六本木)
- 小松めぐみ
- 2018年7月6日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月22日
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガーデンテラス4F ☎03-5413-3282
営業時間11:00〜14:00LO、17:30〜21:00LO 無休
コース予算:ランチ¥3,500〜、ディナー¥8,000〜(税サ別) ※テラスは予約不可
https://www.hiramatsurestaurant.jp/roppongi-terrace/space/
*2017年3月23日発売「週刊新潮」13号掲載

最も3ツ星に近い男」が飲ませる
東京で最高のシャンパン
目下、フランス料理界で最も注目を集めるシェフが日本デビューすると聞いて心臓が早鐘を打った。その名をフィリップ・ミル(43)と言い、2017年3月17日、彼の名前を冠したレストランがオープンしたのだ。
運営母体の株式会社ひらまつは過去にも有名シェフと提携した店を展開してきたが、ミル氏と約10年前に出会ったという同社取締役の長谷川幸太郎氏(43)によると、
「彼はパリの名店で修業後、38歳の若さでフランス版人間国宝とされる『M.O.F.』(国家最優秀職人章)を受章。現在はシャンパーニュ地方の2ツ星レストランで総料理長を務めており、“最も3ツ星に近いシェフ”と目されています」
店内は緑豊かなテラスを望むダイニング80席の他に個室が4室。ミル氏の拠点・シャンパーニュ地方に因み“優雅なシャンパーニュサロン”をコンセプトとしており、大手から小規模生産者まで常時100銘柄以上のシャンペンが揃うのが自慢だ。古いモノクロ映画に、
「パリで最高のシャンぺンを飲ませる場所を知ってる」
そんな台詞があったが、東京ならここかもしれない。
銘柄を選ぶ程こだわりがなければ、その日のコース料理と相性のよいシャンペンを数種類おまかせで味わえる「ソムリエお薦めのグラスシャンパーニュセット」がお薦め。各銘柄を80㎖ずつグラスで楽しむこのセットは、3種類4500円〜、4種類6000円〜。
「当店オリジナルラベルのこちらは、白ブドウと黒ブドウをブレンドしたバランスのよい味わいです。『エティエンヌ・ルフェーヴル』という生産者のものは黒ブドウのみで造られているため、ロゼがかった色合いで旨味があるタイプです」
という黒服のソムリエによる6銘柄の説明が耳に心地よい。
ディナーコースは8000円から3種類あり、真ん中の1万2000円のコースは9品構成で、最初の2品は先付感覚の軽い味わい。これに合わせられたのは白ブドウのみで造られたシャンペンで、フレッシュさのある繊細な口当たりだ。
3品目は鮭の切身を藁でしっとりと燻した「スモークサーモンとポロ葱のバヴァロワ」で、シャンペンは先のオリジナルラベル。
「鮭の上に散らした黒い薄切りのものは、キャビアを圧縮した金の延棒状の食材をスライスしたものです。1枚で1杯いけると思いますよ」
キャビアとの相性は言わずもがなだが、サーモンやポロ葱のバヴァロワともなかなかの相性。以降、「海老のタルタルと手長海老のフリット」「真鯛の蒸し焼きと柑橘類」「イベリコ豚のソテー」と、料理の旨味が濃くなるにつれ、グラスに注がれる銘柄もコクのある味わいに。食後には、
「晴れた日にはテラスでデザートをお召し上がりいただくこともできます。この真下が桜並木なんですよ」
テラスのみの利用も可。名のみの春から抜け出せば、花見の名所となりそうだ。
©MEGUMI KOMATSU
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