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厲家菜 銀座(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年6月8日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル9F  ☎︎03-6228-6768

営業時間11:30~14:00LO、18:00~21:00LO  定休日:日曜 

コース予算 昼¥4,800〜、夜¥15,000〜 http://www.reikasai.jp

*2016年「週刊新潮」33号掲載



健康と美と長寿を目的とした

清朝の宮廷の日常料理


「厲家菜(レイカサイ)」本店は北京の紫禁城裏手の胡同にあり、世界中からVIPが訪れる有名店だ。日本では、かつて六本木ヒルズでの営業時に、中華料理店として初めてミシュランガイド東京の2ツ星を獲得したが、2014年に閉店。たが、2016年6月、晴れて銀座に復活した。

 マネージャーの笠原浩氏(50)によると、オーナーの厲愛茵(レイアイイン)氏(62)のビザ取得に時間がかかったため2年のブランクができたとか。

「厲家菜とは『厲家の料理』という意味で、創業者の厲子嘉(レイズーチャー)は清朝の内務府大臣として皇帝や西太后の料理を統括していた人物です。ラストエンペラー愛新覚羅溥儀と共に民間人になってからも、厲家には医食同源の思想を組み込んだ宮廷の日常料理が受け継がれ、食品添加物を一切使用せず、昔ながらのレシピで料理を再現しています」

9階でエレベーターを降り、胡同のような仄暗い通路を抜けると、一転して明るいテーブル席が現れる。

「中国の景勝地、桂林の風景です。翡翠色のソファーの背もたれは山々、ランプシェードは雲、カーテンは霧を表現しています」

 メニューを開くと、夜のコースは6種類。前菜14品と主菜3品、スープ、点心、デザートから成る2万5000円のコースには、「フカヒレの蒸し煮」など、免疫を強化する料理が多く含まれる。 

 全14皿の前菜は量も油分も控えめで、素材の味を生かしたもの。たとえば代表作の「翡翠豆腐」は、そら豆と帆立の甘い香りが生きた、滋味深い味わいだ。

「西太后が好んだ翡翠をモチーフに、初代が発案した料理です。枝豆は長寿の食材で、翡翠は不老不死および生命の再生をもたらす力を持つと信じられているんですよ」  

 と言うのは、幼い頃から父を手伝って料理を覚えたという、4代目の愛茵氏。

「セロリの蛯子酢和え」は包丁技が冴える逸品で、幅も厚さも長さも揃えて切られたセロリが、海老の卵と酢で和えられている。

「セロリの茎の中でも食感のよい一部分だけを使い、宮廷料理の独特な切り方で仕上げています。これは血液をサラサラにします」

 家業を継ぐ前は医師だったため、現在の料理には最新の栄養学も取り込まれている。たとえば主菜の「最上の部位だけを選んだフカヒレの蒸し煮」がそうだ。

「フカヒレに含まれるコンドロイチン硫酸塩の抗がん作用は、鶏や鴨と合わせることで効果を最大限に発揮します。そのため、老鶏のスープで煮込んでいます」

 濃厚な旨味が凝縮したそのスープは、いかにも体によさそうな味わい。「烏賊の卵巣・冬虫夏草のスープ」はもう少しあっさりしているが、なにせ不老長寿の生薬、冬虫夏草入り。享年74歳の西太后の髪が黒く、背中が真っすぐだったというのも、納得である。


©MEGUMI KOMATSU

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