喜記(銀座)
- 小松めぐみ
- 2018年8月5日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月23日
東京都中央区銀座6-3-11 西銀座ビル2F ☎03-3289-0505
営業時間 11:30〜14:30LO、17:30〜22:00LO(土日祝〜21:00LO) 無休
予算:昼¥980(税込)〜、夜¥6,000〜(税別)
http://heigei.jp
※2018年3月15日発売「週刊新潮」11号号掲載

スパイシーな海鮮料理が評判
香港の芸能人御用達店が初上陸
香港に本店を構える「喜記(ヘイゲイ)」は、当地の芸能人も御用達のシーフード・レストラン。その日本初の支店が2017年10月5日、銀座に開業した。
「『喜記』は、元々水上生活者だった廖傳喜(リュウシュウヘイ)氏が、1960年代に船上で避風塘(ビーフォンタン)料理と呼ばれるスパイシーな魚介料理を出すようになったのが始まりです。避風塘とは台風などから船が非難する場所。香港では漁師などがここで水上生活をしていましたが、1980年代に入って水上生活が禁止に。そこで真っ先に陸に上がって屋台を構えたのが廖氏。その店『喜記』は、避風塘料理の元祖として香港でも有名です」
そんな本店の来歴を語るのは、調理長の蔡衛良(チョイワンリョン)氏(54)。かつて船上で営業していた頃は有名人が深夜に訪れる隠れ家レストランとして評判を呼んだが、現在は多くの支店を展開し、幅広い層に人気だという。
東京・銀座の店は、大きな窓のある空間に30席。店内は家族連れにも向く明るい雰囲気だが、供される料理はお酒に合う大人向きの味付けが中心だ。
メニューは7割が本店と同じ。コースは6000円(税別、以下同)から用意されているが、2〜3人以上で看板料理を堪能するならアラカルトがお薦め。たとえば前菜としても楽しめる「アサリの豆豉ソース炒め」(1500円)は、黒豆を発酵させた調味料“豆豉(とうち)”と殻付きの大粒のアサリ、長ネギ、唐辛子を炒めたもので、ほのかに甘じょっぱく、唐辛子の風味が利いた逸品だ。現在は他の中華料理店でも見かけるが、実は避風塘料理が発祥だという。
メインの看板料理は「マッドクラブのチリガーリック炒め」(5500円)と「シャコのスパイスソルト炒め」(8800円)で、どちらも生きた殻付きのものをスパイスと共に炒めたダイナミックな海鮮料理。前者は約500㌘のベトナム産マッドクラブの甘みと特製のガーリック調味料が互いを引き立て合う。一方、シャコの料理はフィリピンから毎週木曜日に届く体長30㌢ものシャコが主役。巨大なサイズに驚くが、弾力のある食感も非凡で、噛む程に広がる旨みを5種の香辛料と香味野菜が引き立てる。
蔡氏いわく、
「海鮮は鮮度と火加減が命。美味しく仕上げるコツは、加熱するタイミングですね。蟹とシャコは旨みを逃がさないよう、最初に殻ごとぶつ切りにしてから揚げ、表面を油でコーティングしています。秘伝の調味料は本店から取り寄せています」
〆の名物「蟹油炒麺(ハイヤウチャウミン)」は、しなやかなコシのある極細麺が香港醤油と蟹油の風味をまとい、やみつき必至。
また今月は、好みの調理法を選んで海老やイカを楽しめる、東京店独自のメニューも登場。中でも茹でたてのイカを醤油ベースやイカワタのタレにつけて楽しむ一品が好評だ。さっそく食通芸能人が訪れているそうで、既に話題の一軒なのである。
©MEGUMI KOMATSU
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