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坐来大分(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年6月18日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都中央区銀座2-2-2 ヒューリック西銀座ビル8階 ☎03-3563-0322

営業時間17:30~22:00LO   定休日:日曜、祝日、年末年始、盆第1土曜日

コース予算:7,200円〜(税別) https://zarai.jp

*2016年「週刊新潮」46号掲載



一本釣り、面買い、活け締めの

箱入り高級魚、関アジと関サバのお造り


 大分県の佐賀関に揚がる関サバ、関アジは、青魚の中では別格の高級魚。東京で最も新鮮な状態で楽しめる「坐来大分」の安心院淳(あじみ すなお)料理長(49)によれば、両方同時に楽しめるベストシーズンは、11月中旬だ。

「アジは夏が旬と言われますが、当店では関アジは1年中出しています。私は晩秋が一番脂がのって美味しいと思いますね」

 旬を逃すまじ、と駆け付けた銀座一丁目のビル8階のエレベーターを下りると、目の前は食材の物販コーナー。それはここが大分県のアンテナショップを兼ねているため。さらに進むと打って変わってムーディーな店内は、オープンキッチンに面した日田杉のカウンター席と、夜景を望むテーブル席から成る。

 メニューは、月替わりのコースが3種類とアラカルトが色々。7品7200円のコースを注文すると、柿の葉を蓋のようにのせた小鉢の先付が登場した。

「今月のコースは、昨年『世界農業遺産』に認定された国東半島宇佐地域の食材や伝統を取り入れたもの。この先付は同地区姫島の“きつね踊り”にちなんだ一品です。柿の葉に刺した松葉は狐のヒゲをイメージした演出で、器の中はゆで落花生と柿の白和えです。きつね踊りの時に子どもたちが顔に白粉を塗ることから、メニュー名を“おしろい仕立て”としています」

 続く前菜は、すりつぶした銀杏をまとめて焼いた「銀杏餅」やお煮しめ、宇佐産のみとり豆入りの郷土料理「みとりおこわ」などの盛り合わせ。家庭的な温かみを感じさせる素朴な味わいに、心が和む。

「大分には山岳信仰の参拝者を家庭料理でもてなす“お接待文化”がありまして、この前菜はお接待料理の一種です」

 スタッフもほとんどが大分出身者とあり、料理と共に説明される地元情報も盛りだくさんだ。

 続いて、ブリのヅケをたっぷりの細葱と和えた郷土料理「りゅうきゅう」を挟み、目当てのお造りが登場。厚めに切られた関あじは程よく脂がのって歯応えがあり、関さばは噛むほどにじわりと旨味が現れる。また、フグのように薄く造られた関鯛は、上品な旨味と程よい噛み応えが魅力的。

「豊予(ほうよ)海峡は潮の流れが早いので、身がしまるのです。また、ここの漁法は一本釣りのため、獲られた時に魚にかかるストレスが少ない。中でも佐賀関漁港で水揚げされるものだけが関アジ、関サバと呼ばれるブランド魚になるのは、佐賀関漁港の魚の扱いが丁寧だからです。活きたまままま港に持ち帰り、売買の際は、重さを量るのではなく水面の魚を見て大きさを判断する“面買い”をするため、人が魚に触る回数が少なく、魚体が傷みにくいんです」

 それを早朝に丁寧に活け締めした魚が当日便で届くのは、全国で唯一、大分県のアンテナショップであるここだけ。美味しいお国自慢でお腹も頭もいっぱい。


©MEGUMI KOMATSU

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