天ぷら蕎楽亭(曙橋)
- 小松めぐみ
- 2020年1月2日
- 読了時間: 3分
東京都新宿区余丁町1-14 須賀ビル1F
☎03-6755-2500 営業時間:18:00〜
定休日:土曜、他不定休あり コース予算:¥15,000(税サ別)〜
※1日1組(2〜6名)限定、完全予約制(3日前までに要予約)

蕎麦の名人が密かに営む
1日1組限定の天ぷら店
東京・曙橋の「天ぷら蕎楽亭」は、手打ち蕎麦の名店「蕎楽亭」を営む長谷川健二氏(51)が、月に平均3〜4回だけ開く天ぷら店。
秋は松茸、冬は白子、早春は白魚と、季節の魚介を揚げたてで提供するのは「蕎楽亭」でも行なっていることだが、こちらでは長谷川氏が1日1組の予約客のために20種以上の食材を仕入れて天ぷらを提供。おまかせコース(1万5000円、税サ別)の天ぷらは「才巻海老3本・魚介5品・野菜4品」が基本で、魚介と野菜はお品書きから好きなものを選ぶことができる。
天ぷらの前や合間に出される数品の料理は、長谷川氏の故郷・会津の郷土料理が中心。例えば「根三ツ葉とナメコのお浸し」は秋の山の香りで都会の喧騒を忘れさせ、「会津の馬刺し」の新鮮なモモやヒレ、レバーは濃厚な旨味で食欲を刺激。「飛露喜」「央」など、厳選された会津の地酒との相性も抜群だ。
「日本酒は会津の後輩の酒屋から仕入れていまして、馬刺しはその後輩の紹介で取り寄せています。入手困難なレバーもおかげで分けてもらえているんですよ」
と長谷川氏。
天ぷらは、カラリと香ばしい才巻海老の頭からスタート。次の才巻海老の身は、1本目はしっとりと甘く、2本目は中心が半生のためか旨味が強く感じられる。
「違いを楽しんで頂きたいので、2本目は高温短時間で揚げています。生でも食べられる海老ですのでね」
続く魚介は、穴子、キス、生ウニ、白子など、12種の中から5品を選択。11・12月ならではの味覚といえば、油の海を泳いできたかのような姿で登場するししゃもだ。頭から丸かじりすれば、ジューシーな旨味が広がり、燻製とは別物の美味しさに。驚かされる。新鮮なししゃもは水分が多いため、揚げると鍋の油が一気に汚れてしまうそうだが、
「この店は少人数制なのでこまめに油を替えることができて、私もストレスがないんです。蕎麦屋だとこうはいきませんけどね」
と、長谷川氏は嬉しそう。また、スミイカは甘く柔らかな身もさることながら、横に添えられたゲソも逸品。油が良いためか、想像を裏切る品の良さだ。
10種の中から4品を選ぶ野菜も、さりげなく個性的。例えば新銀杏は皮を付けたまま揚げ、皮のえぐみを味わいとして生かす趣向。大きな松茸は1人1本、ハスは厚さ2cm程の輪切りを揚げるなど、ダイナミックな素材使いも特徴的で、冬は香箱蟹の身をほぐして殻に詰めたものを丸ごと1杯揚げるとか。
締めの麺は、「蕎楽亭」で人気の並蕎麦、田舎蕎麦、冷麦、うどんの4種。冷麦とうどんの色がやや黒みがかっているのは自家製粉の小麦がふすまを含んでいるためで、コシと香りが秀逸。天ぷら好きのみならず、蕎麦好きにもうどん好きにもたまらない。
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