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蕎麦の膳 たかさご(牛込神楽坂)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都新宿区中町22  ☎03-3260-3908

営業時間 11:30〜14:30LO、17:30〜20:00LO   定休日:火曜、第2土曜

予算:昼¥1,000、夜¥5,000〜  ※夜のコース(¥6,000〜)は2日前の12時までに要予約。http://www.sobatakasago.jp   

※2018年3月8日発売「週刊新潮」10号掲載



3代目が打つ十割蕎麦と

4代目が作る料理をコースで満喫


「蕎麦の膳たかさご」は明治時代に日本橋で創業し、戦後すぐに新宿区中町へ移転した手打ち蕎麦の老舗。牛込中央通りに面した暖簾をくぐると、4人掛けのテーブルが6卓並ぶ仄暗い空間が現れる。クラシックのBGMが優雅な雰囲気を醸し出す店内では、気軽に「せいろう」(820円/税込、以下同)1枚を楽しむこともできるが、旬の味覚やお酒も堪能したい夜は2日前までに要予約のコース料理「蕎麦の膳」がおすすめ。  

 メニューに載っているコースは8品6000円の1種類だが、グレードアップした料理と2種類の蕎麦を楽しめる特別コースもあり、そちらは予算に応じて7500円から。

 特別コースを注文すれば、千葉県産蛤の有馬煮や広島県産牡蠣の甘露煮などの季節替わりの前菜に続き、懐石料理のように端正な趣のお椀が登場。例えば「長崎産スッポンの吸物」は、澄んだ出汁のクリアな旨みにハッとする逸品だ。三代目店主の宮澤佳穂氏(70)いわく、

「料理は、以前は家内が作っていましたが、今はホテルオークラ東京の『山里』で12年間和食の修業をした息子が作っています。私は今は特別コース用の蕎麦打ち担当です。日本酒も旨いものを揃えていますので是非どうぞ」

 日本酒の中で特筆すべきは、“酒造りの神様”とも呼ばれる能登杜氏、農口尚彦氏が昨年立ち上げた酒蔵の「本醸造無濾過生原酒」。以前から農口杜氏と交流のある3代目が特別に手配してもらっているという希少なお酒は、柔らかさとキレのよさを併せ持ち、大間のマグロをはじめとする天然物の魚のお造りや、脂ののった鰆の照り焼きなどと抜群の相性。ふんわり、もっちりとした「蕎麦掻き」の甘みに寄り添う繊細さもある。

 サクッとした揚げたての天ぷらを挟んで登場する蕎麦は、特別コース限定の真っ白な「さらし粉生粉打ち蕎麦」と、仄かに緑がかった十割の「せいろう」の2種。前者は淡い甘みと繊細な食感が持ち味だが、後者は若草のような蕎麦の香りとしなやかなコシが特長で、同じ蕎麦でも全く異なる表情に驚かされる。

「蕎麦は自分で産地を訪ねて買い付け、石臼で自家製粉しています。通常使っているのは秋田県八峰町産、青森県階上町産、茨城県の常陸秋そばの3種で、今日のは常陸秋そば。なるべくブレンドせず、産地の持ち味を引き出しています」

 実は東京都檜原村の畑では自ら蕎麦を栽培しており、12〜1月のコースには自家栽培の蕎麦が出されるとか。そんな3代目のこだわりが生み出す蕎麦と、名店で腕を磨いた4代目の料理のコラボレーションが始まり、今年で10年。親子の競演も円熟味を増し、蕎麦通を魅了している。



さらし粉生粉打ち蕎麦(特別コース限定)

©MEGUMI KOMATSU


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