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新広東菜 嘉禅(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年8月3日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都中央区銀座6−5−13 銀座美術館ビル2F    ☎03-6264-5851

営業時間 11:30〜14:30LO(土日祝15:30LO)、17:30〜22:00LO(土日祝21:30LO) 無休 コース予算:昼¥1,200〜、夜¥8,000〜(税別)

https://ginza-kazen.therestaurant.jp 

*2018年2月1日発売「週刊新潮」5号掲載



モダンで贅沢な“新”広東料理

定番はフカヒレの姿煮込み


 総料理長の簗田圭(やなだけい)氏(39)は、都内の名店で修業後、シンガポールの高級ホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」で腕をふるった経歴の主。2017年6月に開業した「新広東菜 嘉禅」は、幅広いジャンルの食材を生かした、モダンな広東料理店だ。

「日本では広東料理といってもピンと来ない人が多いかもしれませんが、広東料理の特徴は蒸し点心、ロースト、ふかひれなどの高級乾物料理と鮮魚料理です」

 コースは8000円(税別、以下同)から3種類。最初の蒸し点心は、2月はイカスミを練り込んだ皮に数種のキノコとレンコンの具を包み、上に黒トリュフのスライスを飾った蒸し餃子だ。肉を全く使っていないのに芳醇な旨みがあるのは、トリュフオイルのため。

 2品目の前菜の盛り合わせは、絵柄の異なる4枚の九谷焼の小皿が目にも鮮やか。中には香港スタイルの肉のローストが数種あり、たとえば「鶏手羽元の五目詰めロースト」は、手羽元の骨を抜いて空洞になった部分に腸詰、貝柱、椎茸などを詰めて焼いたもの。はちきれんばかりの皮に染みたタレの、甘旨くスパイシーな風味も絶妙だ。「皮付き豚バラ肉のロースト」は、パリッとした皮の軽い食感と香ばしさが魅力的。

「まずは皮付きの豚を茹で、その後2日間干すことで膨張率を高めます。それを300度の高温でローストするから出せる食感です」

 本場ではポピュラーながら、日本で作っているお店は極わずか。技も手間も要するためだが、簗田氏は、

「日本人が知らない広東料理を掘り起こしていきたい」と、意欲的だ。

 3品目以降はコースによって内容が替わり、1万1000円の場合は新鮮なロブスターと広東野菜の炒め物。黒トリュフとオリジナルXO醤ソースの旨みのパンチで食欲に拍車がかかるが、後に続く2品「特製北京ダック」「気仙沼産特大ふかひれの陶板煮込み」(140㌘/2名分)は、さらに食欲を煽るご馳走だ。いずれも熟練のサービスマンが客席で料理を仕上げる趣向で、北京ダックは飴色の皮を薄く削いで大根、胡瓜、甜麺醤(てんめんじゃん)と共に薄餅にのせて固く巻き上げ、次のふかひれは余ったスープでリゾットを作る様子を披露。スープは合鴨と丸鶏、鶏足の出汁にオイスターソースと紹興酒を加えたシンガポール風だ。リゾットには、彼の地でよく使われる黒トリュフが散らされている。

「シンガポールにはイスラム教徒も多いため豚肉を使わないのです。だからくどくなく、トリュフにも合う」

 食材のジャンルの壁を軽々と飛び越える簗田氏は、A5ランクの和牛も使用。新時代の広東料理は、グローバルな美味しさだ。



©MEGUMI KOMATSU

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