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日本料理 晴山(三田)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年3月17日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都港区三田2-17-29 グランデ三田B1F

☎︎03-3451-8320

営業時間12:00〜15:00、17:30〜23:00

定休日:月曜(水曜はランチ営業なし) 

コース予算:¥10,800・¥16,200

*2014年「週刊新潮」47号掲載

http://seizan-mita.com


若手が腕を鳴らす

「ミシュラン」日本料理店


 東京・JR田町駅から少し歩いて10分弱。慶応義塾女子高近くの一角に、ひょっこり現れる灯籠型の小さなランプ。「日本料理店晴山(せいざん)」は、人目を忍ぶかのように佇んでいる。

「敢えて住宅街の物件を探したんです。駅から離れた場所でも、お客様に足を運んでいただけてこそ、『本物』ですからね」

 そう語る店主の山本晴彦氏(35)は、岐阜の有名懐石料理店「たか田八祥」で修業を積み、2011年6月に「晴山」を開いた。

「19歳で弟子入りした時から、31歳で独立しようと決めていました。目標を立てないとズルズルと甘えてしまうので、店を始めた時も『絶対にミシュランの星を獲る!』と、スタッフと心に決めたんですよ」

 目標は見事に達成され、翌年から2年連続で2ツ星に輝いた。1ツ星の定義が「そのカテゴリーで特に美味しい料理」なら、2ツ星は「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理」。まさに「晴山」に相応しい称号だ。

 コースが1万円からという、同クラスの他店に比べてお値ごろな価格設定が人気を呼び、平日なら最低1ヵ月前、週末なら2ヶ月前でなければ席が取れない。

「私は東京では新参者。強気の価格帯ではやっていけないと思い、東京の水準よりも原価率を上げて、価格を抑えているんです」

 取材に訪れた11月末の1万円のコースは、1品目が「帆立と明太子と長イモの先付」で、2品目が「銀杏しんじょうのお椀」。

 美しい黒漆のお椀を開けた瞬間、湯気とともにダシの香りが立ち上り、吸い口の黄柚子と相まって、冬の風情を感じさせる。

「ダシはほぼ全ての料理に使う料理の肝です。これがブレると、全てがブレてしまうので、少しでも雑味が出たら、取り直す。腕ものは温かさが大事なので、約60度と80度のお湯で温めた後、最後に100度近いダシを入れて、お客様にお出ししています」

 お椀そのものにも、一見の価値がある。無地の蓋を裏返すと、そこに施されているのは、富士山を描いた華麗な金蒔絵。石川県輪島の名店「尚古堂」であつらえた逸品だという。

「『晴山』のイメージである富士山をモチーフに、5種類の腕をつくっていただきました。若い頃から独立を見据えて集めていた器は、軽トラック1台分ほどもあります。給料の3分の1はつぎ込んだでしょうか」

 コースは「氷見の鰹のお造り」、「白子の揚げ出し」、「寒鰆の照り焼き」、「海老芋と穴子の煮物」、「白身魚の土鍋ご飯」と続き、デザートの「イチゴの蜂蜜ゼリー添え」まで計8品。いずれも料理と器の取り合わせが目を愉しませてくれた。

 今月5日に発売されるミシュランガイド東京2015でも2ツ星を獲得した。来年こそは

「そのために旅行する価値がある卓越した料理」と定義される3ツ星を狙うのか?と尋ねれば、

「今は星の数を増やすことより、料理と器のレベルを上げて、今まで以上に良いお店にすることを第一に考えています」

 予約の競争率は高まる一方である。



©MEGUMI KOMATSU

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