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日本酒バル のまえ(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月19日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都中央区銀座5-2-1 東急プラザ銀座11F   ☎03-6264-5264

営業時間11:00〜15:00LO、17:00〜21:30LO    

不定休(東急プラザ銀座に準ずる)

予算:昼¥2,700〜、夜(平均)¥5,000(税別) 

http://www.nomae.jp

*2017年9月28日発売「週刊新潮」38号掲載


京都の料亭「下鴨茶寮」の技が光る

端正な酒肴でひやおろし三昧


 食欲の秋は、日本酒の季節。例年9〜11月は秋の限定酒「ひやおろし」が出回り、夏を越えて熟成したまろやかな味わいに、酒徒が色めき立つ。

 旬の秋酒を楽しもうと訪れたのは、常時50種類以上の日本酒を揃える「日本酒バルのまえ」。京都の老舗料亭「下鴨茶寮」が昨年、創業160年目の挑戦として東京に出した店だ。

 暖簾の先には二つの店舗が存在し、入ってすぐは「日本酒バルのまえ」、奥は割烹料亭「下鴨茶寮東のはなれ」。その前に位置するため「のまえ」と店名を付けたのは、主人で放送作家の小山薫堂氏(53)だ。いわく、

「日本の食材、酒、器の“つくり手”たちは、伝統と革新を融合させ、どんどん進化しています。“つくり手”と“料理人”がコラボレーションし、 料亭の技を生かした端正な肴と日本の酒のマリアージュをご提案します」

 窓外に銀座の夜空が広がる店内は、カウンター17席とテーブル16席に立席も備えた、カジュアルな空間。日本酒のメニューは、氷温酒、定番酒、プレミアム酒、季節酒に分類され、ワイングラスで半合ずつ楽しめる仕組み(800円〜、以下税別)だ。京都本店から転任したマネージャーの玉井佳織氏(29)によると、最初の1杯にはマイナス4度で貯蔵管理した氷温酒が人気だとか。

「中でも『神蔵純米大吟醸七曜』は、本店のご近所の蔵元、松井酒造から分けてもらっている無濾過酒です。食事が進んで体が温まった頃にお薦めすることもあります」

 キリッと冷えたお酒はキレのある端麗な味わいで、淡い味わいの野菜料理にもぴったり。

 取り皿の“応量器”は、昔から禅宗の僧侶に使用されている、大小の入れ子の器。黒い漆器はどんな料理も映え、日本の伝統工芸の魅力に気付かされる。

 名物の「きんぴら鮪」や「山うに豆腐」などの肴(1品550円〜)は、旨みののったひやおろしと好相性の、濃いめの味付け。鮪とささがき牛蒡を煮込んだ「きんぴら鮪」は元々「下鴨茶寮」のお土産として人気の品で、「山うに豆腐」は小山氏の故郷、熊本の酒肴だ。秘伝の味噌に漬けた豆腐は、名前の通り、ウニのような濃厚さ。京都本店で懐石料理の一品として出されている「牛フィレ唐揚げ」を単品(1900円)で楽しめたり、本山直隆総料理長(35)が旬の食材を好みの方法で調理してくれるのも、この店の醍醐味だ。

 木箱の中から食材を選び、

「松輪の鯖はお造りに、若狭の甘鯛は塩焼に」

 などと注文すれば、割烹で贅沢をしている気分。お酒に合わせて料理を作ってもらうこともできる。

「“三井の寿『ポルチーニ』秋純米吟醸”には、きのこが合いますので、舞茸を天ぷらにしましょうか」

 試してみれば、お酒と舞茸の芳醇な香りが相まって、また杯が進んでしまう。


©MEGUMI KOMATSU

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