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星のや東京ダイニング(大手町)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月14日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都千代田区大手町1-9-1星のや東京B1  

☎03-6214-5155(ダイニング予約専用)

営業時間 17:30~20:45LO    無休    

コース予算:¥18,000(税サ別) 

https://hoshinoya.com/tokyo/dining/

*2017年6月22日発売「週刊新潮」25号掲載



ビルの地下のモダンな空間で味わう

旅館の夕食“Nipponキュイジーヌ”


 星野リゾートが2016年夏に開業した大手町の日本旅館「星のや東京」で今年3月にスタートした「Nipponキュイジーヌ」は、浜田統之(のりゆき)料理長(41)が日仏の長所を融合した独自の料理。

「鮨やラーメンなどのように、日本で生まれた独自の料理として世界に発信したいと思っています」

 と浜田氏が意気込むコースは、1万8000円(税サ別)の月替わりのおまかせ1種類。予約して旅館の扉を開けると、正面に畳の長い廊下が広がり、スタッフが靴を預かってくれる。畳敷きのエレベーターで地下1階に到着すると、オブジェのような大きな岩が配置されたエントランスが現れ、そこからは一切客席が見えない造り。スタッフに案内されたのは半個室のテーブル席だが、この他に畳敷きの個室6室とカウンター席があるとか。

 小さく畳まれた和紙の献立には「汕:鯵」など、料理のテーマを示す漢字と主素材を組み合わせたメニュー名が9つ書かれており、最初に登場するのは記載外の先付2品。1品目は大きな煎餅のような“チュイル”に枝豆と海老と小魚のフリットを添えたもの。魚の骨とチーズの旨みが調和したチュイルは、シャンパンと抜群の相性だ。

「チュイルは乾燥させた魚の骨のパウダーと小麦粉、バター、クリーム、長野県清水牧場のブラウンスイス牛から作られたバッカスチーズと合わせて焼いています。このコースは日本の食材だけを使うことと、様々な魚を使うことが特徴。海外からみた時、日本旅館では『魚』がキーワードになると考えているためです」

 コースは約8割が魚料理。

 先付の2皿目で鱧のフリットやコンソメと共に登場する煮こごりや、3品目「汕:鯵」でトマトと合わせた鯵の刺身は和食のようだが、総合的な味は西洋的だ。

「旅館ですのでプレゼンテーションは“和”ですが、調理のベースはフランス料理です。和食は引き算の料理ですが、足し算の考え方も使って素材の魅力を引き出すのがNipponキュイジーヌです」

 特に印象的な料理は「石:五つの意思」と題した一口サイズの前菜5種の中の「桜海老のアメリケーヌソースを詰めたクリームコロッケ」と、メインの「サメガレイのムニエル」。前者のコロッケは桜海老のソースの香ばしい香りが驚くほど華やか。後者のサメガレイはゼラチン質の身とソースが相まったふくよかな味わいだ。

「ムニエルにはトリのダシのソースと、卵黄と酢とウワミズザクラ(バラ科の落葉高木)の葉で作ったソースを添えています」

 浜田氏は2013年にフランス料理の国際大会「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」の魚料理部門で世界1位を獲得した魚料理の名手。フランス料理の足し算の技で調理された日本の魚の新しい表情が「Nipponキュイジーヌ」の個性となっている。


©MEGUMI KOMATSU

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