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東洋軒(赤坂見附)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年3月23日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月23日

東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー1F   ☎︎03-5786-0881

営業時間11:30~14:00LO、18:00~21:00LO(夜は要予約) 定休日:日曜 

コース予算:昼¥2,800~、夜¥5,800~(税サ別) 

http://tokyo-toyoken.com

*2015年「週刊新潮」6号掲載



世界のNARISAWAが明治創業の西洋料理店に新風


 東京・南青山のフレンチレストラン「NARISAWA」といえば、ミシュラン2ツ星の人気店。その成澤由浩シェフが初めて手掛けた洋食レストランが、昨年1月に赤坂見附にオープンした「東洋軒」だ。 

 その名に聞き覚えのある方もおられよう。「東洋軒」は明治30(1897)年に東京・三田で創業した日本の洋食レストランの先駆けで、宮中晩餐会の料理も担当していた宮内庁御用達。2002年に惜しまれつつも閉店したが、その伝統は暖簾分けした三重県津市の同名店に受け継がれ、この程、創業の地へ舞い戻ってきたのである。

「再び東京に出店することが、長年の目標でした」

 とは、猪俣憲一オーナー社長。

「東洋軒は創業以来、常にその時代の最高峰のシェフを迎え入れてきました。成澤シェフによって、洋食という日本の食の知られざるベーシックを世界に発信したい。そんな思いで、総料理長をお願いしました」

 天井高約4mの広々とした店内には、テーブルと肘掛け椅子がゆったり並ぶ。

 ここに座ったからには、名物の「ブラックカレー」を食べずして帰るわけにはいかない。

「ブラックカレーの発案者は、かつて『東の魯山人、西の半泥子』と称された陶芸家で、百五銀行の頭取も務めた川喜田半泥子氏だと言われています。川喜田氏は三重に東洋軒の支店をつくるよう働きかけた人物でもあるんですよ」

 そこで、計5品(前菜2品、メイン、ブラックカレーまたはハヤシライス、デザート)の6246円のコースを注文した。

 1品目は、衣がサクッと軽く、小粒な身がミルキーな、揚げたて牡蠣フライ。

 2品目は、玉ねぎの甘味とビーフコンソメの澄んだ味わいが相まったオニオングラタンスープ。 

 メインは松阪牛を使ったビーフシチューで、デミグラスソースと和牛特有の香りがたまらない。

 成澤シェフによれば、

「通常のデミグラスソースは小麦粉でとろみを出すのですが、当店では小麦粉を一切使わず、代わりに大量の野菜を煮込むことで、とろみを出しています」

 お腹が満たされてきたところで、その名の通り「真っ黒」なカレーが登場した。濃厚なルーはほのかにスパイシーで、薄切りの松阪牛と玉ねぎは口当たりがなめらか。全体的に、見た反してマイルドな味わいだ。

 が、そもそもどうして黒くなるのか。

「松阪牛の背脂と小麦粉、秘伝のスパイスを炒め続けると、黒いルーができるのです。そこにブイヨンや松阪牛、玉ねぎなどを加え、約1カ月かけて完成するのが、このブラックカレー。赤坂見附店では、昔ながらの調理法を継承しつつも、食材に工夫を加え、毎日食べても胃に負担がかからないよう、厳選した国産食材だけを使っています」(同)

 気鋭のシェフによって、伝統の味はどこまで進化するのだろうか。


松坂牛ブラックカレーライス

©MEGUMI KOMATSU

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