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浅草じゅうろく(浅草)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月22日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月25日

東京都台東区浅草4-37-8  

☎03-6240-6328

営業時間 月・火、木〜土18:00〜23:00、日・祝11:30 〜14:00、18:00〜21:00  

定休日:水曜 

コース予算:¥6500〜(税別) 

*2017年10月26日発売「週刊新潮」42号掲載



浅草の人気そば店の鴨鍋は

たっぷりの芹とそばがき入り


 女将の伊勢谷留衣氏(29)と、料理担当のタダユキ氏(49)は、二人とも異業種の出身。かつて女将がそば打ちの学校に通い始めたところ、たった3日で経験者のタダユキ氏を超える腕前になったことから、2015年7月に開業したのが「浅草じゅうろく」だ。

 女将がそばで勝負しようと選んだ場所は、激戦区の浅草。浅草寺の北側の静かな通りに面した暖簾をくぐると、8席のカウンターと12席の座敷が現れる。

 手書きのメニューを見れば、出汁巻玉子などの定番料理と日替わり料理が並び、まるで小料理屋のような趣。

 女将いわく、

「最初は普通のそば屋だったんですが、常連さんのリクエストに応えるうちにタダユキさんの料理が増えていったんです」

 メニューには載っていないが、秋から3月にかけての名物は「鴨鍋コース」(8500円、税別、要予約)。

 これを目当てに訪れると、まず料理の味に驚かされる。鰻の肝の山椒煮、明太子の燻製、羅臼の天然ぶりの刺身など、日替わりの八寸の素材が、どれもさりげなく上質なのだ。

「北海道鵡川(むかわ)の生ししゃも、根室の白子など、食材は築地市場のトップの仲卸さんから仕入れています。それを知って来る同業の御客様も多いんですよ。産地から直取り寄せる場合も、5〜6種類食べ比べて“食材オーディション”しています」   

 石川芋と海老芋の煮物を挟んで登場する「鴨鍋」の材料も、鴨は埼玉産の合鴨、芹は秋田県または宮城県産と、上級品だ。

「鴨はフランスのシャラン鴨や日本の真鴨も試しましたが、この合鴨が一番。芹は、今日は秋田県の三関芹(みつせきせり)が手に入りました。三関芹は根っこが長くて良いお出汁が出るので、最後まで鍋に入れておいて下さい。上に乗せた葉っぱは、煮えたらすぐに食べて大丈夫です」

 香りの良い芹の葉を引き上げると、下には旬のきのことそばがきが潜んでいる。

「この鴨鍋は、きりたんぽ鍋と芹鍋の要素を合わせたもの。そば屋らしく、きりたんぽの代わりにそばがきを使っています」

 そばがきや合鴨を引き立てる鍋のスープの、旨みと甘みのバランスも見事。ベースはそばつゆだが、鴨鍋用のスープには昆布も足しているとか。鍋の残りのスープには鴨の旨みが出ているから、〆のそばをつけて楽しむのもいい。

「油揚げ田楽」「ふぐ皮くらげポン酢」「三陸牡蠣フライ」を挟んで登場するそばは、喉越しが良く、香りも豊か。

「そばは味の二八、香りの十割と言いますが、私は基本的に二八。十割に勝るとも劣らない香りを目指し、そば粉は長野県、群馬県、福井県のそばを細挽きと粗挽きにして混ぜています」

 2×8は16。然るが故に「浅草じゅうろく」である。




©MEGUMI KOMATSU

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