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浜松「うなぎ藤田」白金台店(白金台)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年5月20日
  • 読了時間: 2分

更新日:2018年8月25日

東京都港区白金台4-19-21白金IGAXビル3F ☎︎03-6432-5636

営業時間11:30〜14:00、17:00〜21:00    定休日:月曜 

予算:うな重¥3,024〜、コース¥5,400〜 ※うなぎづくしコースは要予約

http://www.unagifujita.com

*2016年「週刊新潮」14号掲載




「串打ち3年、さばき8年、焼きは一生」と言われるほど、鰻の世界は熟練の技を要する。そこへいくと、120年にわたって知恵が受け継がれてきた「うなぎ藤田」は、匠と言えよう。

 明治25年、鰻の養殖が盛んだった静岡・浜名湖で行商を始め、養鰻場経営を経て料理店に転向。2016年3月には、東京・白金台に進出した。

「本店は浜松なのですが、おかげさまで東京からのお客様も多く、都内への出店を希望されるお声をいただいていたんですよ」

 と説明するのは、4代目の藤田将徳氏(42)。

「うちの強みは、養鰻場を経営していた経験とネットワークを活かし、年間を通して良質な鰻を確保できること。浜名湖産の養殖鰻を中心とした国産の活うなぎを、かつて鰻を卸していた問屋から、今はうちが卸してもらっています」

 メニューは5400円から7560円までのコース5種とアラカルトで、今回は9品6480円の「うなぎづくしコースE」を注文した。

 最初に登場したのは、名物の「きもわさ」。「きも」は「肝」と書くものの、肝臓だけではなく、胃や腎臓、腸も含む内臓。これをわさび醤油でいただく一品で、レバー特有のコクがありつつも、さっぱりとしている部分もあれば、プリッとした食感がいい部分もある。

「きもは鮮度が命。生臭い部位なので、塩でもんで洗い、サッと茹でています。当店では先代の頃からお出ししていますが、他店では見かけませんね」

 これに続くのは、短冊切りの蒲焼きとキュウリの酢の物「う作」、甘辛いタレの味が染みた「きも焼」、まろやかな玉子焼で蒲焼を巻いた「う巻」と、まさに鰻づくし。白眉は5品目の「白焼」で、表面を香ばしく焼いたコクのある身は、ふわりと柔らかいが、しなかやかな弾力もある。

「弾力があるのは、浜松店にある清らかな井戸水の中で餌を与えずに1週間泳がせ、身を引き締めているからです。餌を与えず泳がせることを『活かし込み』といい、普通は問屋が数日程度で済ませるところなのですが、私どもは自前の井戸で1週間かけています」

さすがは元行商。人任せにはしないのである。

「この活かし込みは、鰻の味ばかりか、食感をも左右します。身が締まって弾力が出る反面、割くのに時間がかかり、蒸す場合はじっくりと時間をかけないと柔らかくならない。知識や経験が要される部分です」

 〆の鰻重の蒲焼きも、柔らかいだけでなく、しっかりとした食感がある。これに鰻本来の味を活かす、控え目な甘辛味の秘伝のタレが良く合う。何でも、2代目が考案し、3代目が完成させ、50年前から継ぎ足しているという。

 うなぎ藤田の鰻は「タレ2代、知恵4代」の匠の味であった。




©MEGUMI KOMATSU

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