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焼鳥今井(外苑前)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月16日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都渋谷区神宮前3-42-11 ローザビアンカ1F  

☎03-6447-1710

営業時間 17:00〜22:00LO  

定休日:日曜、月曜、祝日 

コース予算:¥4,500(税別)

http://yakitoriimai.jp   

*2017年9月7日発売「週刊新潮」35号掲載



モダンな店内で楽しむ焼鳥コースと

フランス産銘柄肉の炭火焼


 東京の下町、千駄木で開業し、10周年を迎えた2016年12月、外苑前へ移転した「焼鳥今井」。以前の3倍の規模に拡大した店は人通りの少ない路地に面しているが、30席のカウンターは連日大盛況だ。ゆえに訪れる際は予約が無難。予約条件である4500円(税別)のコースを注文して席に着き、メニューを開けば、アラカルト欄には仏産の豚や鳩などの炭火焼もあり、好奇心をくすぐられる。店主の今井充史氏(44)いわく、

「身近ではない高級食材も気軽に楽しんでもらいたい」

 とのこと。そこで「フランス産キントア豚ほほ肉の炭火焼」(1500円)を注文し、コースがスタート。

 前菜の小皿は、旬のムール貝の白ワイン蒸し。仏モンサンミッシェル産のムール貝は小粒ながら旨み豊かで、蒸し汁もパンを浸して楽しむ趣向だ。「葉っぱのサラダ」に続いて登場する焼物は、焼鳥6種と野菜3種。

 最初のレバーはふっくらと濃厚で、付け合わせのデラウェアと交互に味わえば、ぶどうの甘酸っぱさで後味がさっぱりする。

「ぶどうは以前からお付き合いのある山梨県の農事組合法人のデラウェアです。ワイン用なので種がありますが、種もかじるとナッツのようにカリッとしますよ」

 2種目は山梨県中村農場の甲斐路軍鶏の上モモ肉の、雄と雌の盛り合わせ。どちらも大きめのひと口大で歯切れがよく、噛む程に旨みが膨らむが、雌の方が柔らかく、雄は皮が厚めでパリッとしている。

「身と皮のメリハリを付けるため、焼く時は金串に刺しています。地鶏のモモ肉は収縮が激しいので、なるべく切らずに塊で焼くのがベスト。重要なのは、肉が丸鶏の状態だった時の形に戻して刺すことです」

 さもなければ、肉は元の形に戻ろうとしてねじ曲がってしまうのだそうだ。

 皮のミンチも混ぜて焼かれたコクのある「つくね」や、香り豊かな無農薬野菜も秀逸。「ねぎ間」は、とろけるねぎの甘みと鶏の柔らかさが印象に残る。

「『ねぎ間』には山梨中村農場の赤鶏を使っています。ねぎはしっかり焼かないと美味しさが出ませんが、地鶏はしっかり焼くとパサパサになってしまう。その点、赤鶏は厚く切ればねぎと同じ火入れで美味しく焼けます」

 串によって鶏の種類まで変える繊細さに驚きつつ、最後にキントア豚ほほ肉を頬張ると、ゼラチン質を含む赤身肉は鉄分の香りが豊かで、奥深い味わい。今井氏が海外の銘柄肉を使うようになったのは、銀座「バードランド」での修業時代からだとか。焼鳥に魅せられたのも、その頃だという。

「食材の味は日によって違いますが、料理のレベルは保たねばならない。そのためにどうするかと考えるうちに、焼鳥に没頭するようになりました」

 焼き場の中で刻々と変わる炭火を操る今井氏は、今も益々焼鳥に没頭している。


©MEGUMI KOMATSU

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