肉割烹 上(西麻布)
- 小松めぐみ
- 2018年7月21日
- 読了時間: 3分
更新日:2018年8月23日
東京都港区西麻布2-24-14 Barbizon73B1 ☎03-3486-2929
営業時間 17:30〜24:00(最終入店21:00) 定休日:日曜・祝日
コース:¥18,000(税サ別)
http://jo-tokyo.jp
*2017年10月19日発売「週刊新潮」41号掲載

但馬牛ステーキなど14品を
割烹スタイルのコースで満喫
肉割烹とは、肉料理を中心に出す割烹のこと。西麻布の路地に2017年8月に開業した「肉割烹 上(じょう)」は、黒毛和牛の料理を中心とした14品を1万8000円(税サ別)のおまかせコースで提供する肉割烹だ。
店内は7席のカウンターと個室が1室。和食出身の大久保丈太郎料理長(37)が立つカウンターの中央には紀州備長炭で肉を焼く特注窯が設えられ、入口側の端には生食用の肉の専用加工室が設けられている。
「お客様からのご要望が高い生肉をご提供できるように、農林水産省の規定に則した専用加工室を設けました。コースの中で3品ほどお出しします。まずは牛コンソメスープをどうぞ」
菊花と小蕪、百合根が秋の風情を醸し出すコンソメスープは、思いのほか濃厚な味わい。聞けば、大久保氏は3タイプのスープを使い分けており、これは中でも一番濃厚なものだとか。
「ひとつは一番出汁で、それに野菜や牛スジを加えたコンソメが2番目。3番目のこれはコンソメにスッポンの出汁を加えたものです。冷めると固まるほどゼラチンが豊富なんですよ」
生肉、キャビア、ウニなどをのせた贅沢な小丼を挟んで登場する「石川芋と蒸し鮑」の上には、冷やされてゼリー状になった3番目のスープがたっぷり。鮑とスッポン入りスープの相乗効果で、旨みが膨らむ。
4品目は塩水にくぐらせたサーロインの刺身とヒレのヅケ、5品目はユッケとボタン海老の盛り合わせだ。
「生肉ならではのなめらかな食感と甘みを生かしつつ、韓国風ではない、割烹らしい料理を心掛けています」
コースの構成にも割烹のコースを思わせる緩急があり、「上ミスジのタタキ」や「牛ヒレの唐揚げ」といった肉料理の合間には、「キノコのおひたし」や一番出汁を煮含ませた「冷やしトマト」などが挟まれる。
ほどよく口中をリセットしながら11品を堪能すると、いよいよメインの段。
「兵庫県川岸牧場のヒレ70㌘です」
と言って出されたステーキは風味豊かで柔らかく、あっさりと感じるほど脂の質がいい。
「川岸牧場は、但馬牛・神戸牛の名門生産牧場です。早く出荷しようとせず、丁寧に育てているため、後味がさらりとしています」
尋ねれば、牛肉も3種類を使い分けているという。「ステーキやしゃぶしゃぶ用のロース、サーロインやヒレは川岸牧場の黒毛和牛で、赤身の部位は鳥取県田村畜産の田村牛を使っています。田村牛とは但馬牛の雌で、神戸牛の素牛(もとうし)です。生食用には、表面に1㌢以上火を入れてから冷凍して表面の菌を死滅させ、さらに表面を削ぎ落としたものを仕入れています」
〆の食事は、「すっぽんの出汁のラーメン」と「牛時雨煮の茶漬け」。完食すれば、黒毛和牛200㌘がお腹に収まっている計算となる。
©MEGUMI KOMATSU
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