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茶禅華(広尾)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年7月9日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年8月22日

東京都港区南麻布4-7-5  

☎03-6874-0970

営業時間 :火~木17:00~21:00LO、金・土12:00~13:30 LO、18:00~21:00 LO、日12:00~15:00LO   定休日:月曜 

コース予算:ランチ(金・土)¥12,000、ディナー¥17,000~(税別) http://sazenka.com

*2017年4月27日発売「週刊新潮」18号掲載



15品のおまかせコースに

中国茶と日本酒を合わせる最先端中華


 各国の大使館が立ち並ぶ坂の上に誕生した、最先端の中国料理店。某国の大使公邸だった一軒家は、1階が12席のダイニングと個室で、2階は個室が1室。

 総料理長の川田智也氏(34)は有名中国料理店「麻布長江」と食通好みの日本料理店「龍吟」で修業した御仁で、おまかせコースは基本価格1万8000円(税別)だ。約15品の料理に合わせて8種以上の飲物を提供する大好評の「ペアリング」には、日本酒やワインなどのお酒だけでなく中国茶も提供される。

「20代後半の頃にワインスクールでワインと料理の相乗効果に感動したのがきっかけで、自分のようにお酒が強くない人にも飲物と料理を合わせる楽しみを提供したいと思うようになったんです。中国茶は発酵の段階に合わせて6タイプに分かれますので、私はコースの料理の流れに合わせて、中国茶の発酵度を低いものから高いものへとスライドさせながら提供しています」

 中国茶のみの場合は5500〜7000円、アルコールと中国茶のミックスの場合は7000~1万3000円、アルコールのみの場合は8000~1万3000円。3種のペアリングの中で、一番のお勧めはミックスだ。

「お酒の合間にお茶を召し上がることで、リフレッシュしながらお食事を楽しんでいただけると思います」

 と薦められてミックスを注文すると、

 蛤を絹笠茸に詰めてスープ仕立てにした料理と共に、三重県の純米吟醸「寒紅梅」が登場した。淡く澄んだ料理の日本的な旨味は、日本酒と抜群の相性。蛤の出汁を吸った絹笠茸が中華らしい味わいだ。

 次は、蓬を練り込んだ皮で鶏餡を包んだ「蒸し餃子」。

「香りのソースのようにお楽しみください」

 と言われ、運ばれた蓬茶を餃子と交互に口に運べば、口中で蓬の香りが増幅する。

 少量多皿の料理の中には、「梅香豚の四川の香り炒め」や「ふかひれ姿煮」のような純粋な中国料理もあるが、ふんわりした“桜海老真丈”を包んで揚げた春巻などの和中折衷料理も色々。中でも日中双方の要素が複雑に調和するのが、「赤むつ炭火焼あさりと蕗の薹の酸辣味」だ。蕗の薹のほろ苦さが潜んだ酸辣味のスープもさることながら、赤むつの皮の香ばしさも印象的。

「赤むつの皮に玄米おこげをまぶして黒酢を吹きかけて焼く方法は『龍吟』で覚えた技です。かつて中国料理からジャンル転向して『龍吟』に移ったのは、日本の食材と向き合うため。中国と日本の食材は違うので、中国の模倣だけではダメだと思い至りまして」  

 2013年から2年間は台湾で『祥雲龍吟』の立ち上げを手伝うため、かの地へ転勤。その際見つけた原住民のスパイス「馬告(マーガオ)」を使った小鳩の焼物は、川田氏の得意料理だ。サイフォンで淹れられた玫瑰古金芽茶と共に味わえば、香り高いお茶と鳩のスパイスが、華やかに響き合うのだった。


©MEGUMI KOMATSU

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