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西洋料理 玉木(銀座)

  • 執筆者の写真: 小松めぐみ
    小松めぐみ
  • 2018年3月12日
  • 読了時間: 3分

東京都中央区銀座8-5-25 エイトビル1F

☎︎03-6252-9381 

定休日:日曜、祝日、土曜のランチ

営業時間12:00~13:30LO、17:30~22:00LO 

コース予算:昼6,000円〜、夜8,000円〜(税別)

https://www.tamaki-co.jp

*2014年「週刊新潮」42号掲載


銀座の食通を魅了する「西洋料理」


 ガラス張りのドアを開け放ったエントランスは開放的だが、絵画が飾られた店内の入口には風格が漂う。外看板は「玉木」の二文字のみ。昨年(2013年)12月29日には安倍首相も親族、友人、秘書官とともに食事に訪れた、知る人ぞ知る西洋料理店である。 

 ディナーコースは8000円(税別、以下同)からで、名物のメンチカツはアラカルトで3200円。洋食の感覚からすると高いが、ここはあくまでも西洋料理店。芳醇なデミグラスソースをかけて出される神戸牛のメンチカツは香り高く、食堂のそれとは別次元の料理だ。

 そもそも「玉木」の前身はフランス料理店。オーナーシェフの玉木裕氏は、2011年6月に広尾から銀座に移転した際、ジャンルを「フランス料理」から「西洋料理」に改めた。

 その心を尋ねると、

「日本人に合う料理を出したいと思っているからです。年輩の方にも抵抗なく召し上がっていただけるように工夫しています」

 大衆的な洋食屋と誤解される心配はなかったのか?と尋ねると、

「広尾の頃のお客様はわかってくださっているので、心配ありませんでした」

 以前から銀座のほうが来やすいという常連が多かっため、移転後の客の顔ぶれも想像がついていたわけだ。取材に訪れた日は、有名企業の会長がカウンターでくつろぐ姿が見受けられた。

 メニューを概観すると、前菜は和のテイストが濃厚だ。カトラリーレストには、ナイフ、フォークと並んで、お箸も用意されている。

 1万2000円のコースの前菜の一品目は、戻り鰹の藁焼きにみょうがを添えたものと、藁で燻製にしたサバにフランス風ニンジンサラダを添えたもの。脂ののった青魚はほどよい燻製加減で、旬の味とシェフの技に感じ入った。

 次の前菜は「赤ピーマンのムース」。フランス料理の定番だが、穏やかな酸味のあるトマトソースを添え、比較的さっぱりと仕上げられている。

「フランスの現地の料理は味もきついし、酸味も強く、こってりしています。これをこのまま日本に持ち帰っても、気候風土が違うのでウケないと思ったんです」

 ふっくらと焼かれた「ししゃもの風干し」に至っては、まさに和食。シンプル極まりない料理だが、一分の隙もない、凛とした風情がある。「鯵のフライ」も絶妙な食感で、青魚の臭みがなく、上品な趣だ。ゆえにシャンパーニュや白ワインによく合う。玉木氏は原宿の日本料理の名店「重よし」で修業した経験もあると聞き、納得した。道理で魚の扱いが巧みなのである。

「芝エビのムース渡り蟹のソース」は、再びフランス料理らしい一品。メインには4種類の選択肢があるが、迷ったら名物の「神戸牛のメンチカツ」だ。かつては裏メニューだったが、常連に人気で定番化した。  

 和魂洋才の料理は気負いなく上品で、食べ慣れた大人ほど魅了されるようだ。


©MEGUMI KOMATSU

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